壮大な世界観で描かれる”命”を巡る冒険ファンタジー。待望の文庫化「鹿の王」の魅力とは?

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、上橋菜穂子さんの長編小説「鹿の王」です。
2015年の本屋大賞受賞作。待望の文庫版が出ました。


鹿の王1/上橋菜穂子

■鹿の王

ついに、2015年の本屋大賞受賞作、上橋菜穂子著「鹿の王」の文庫版がリリースされました。
6月、7月で全4巻が連続で刊行されます。

前半部分となる1巻と2巻がいま、書店に並んでいます。


鹿の王2/上橋菜穂子

「鹿の王」。頁をめくると、その広大な世界観に引き込まれます。
簡単に、ネタバレしない程度に、あらすじを紹介すると…。

強大な帝国・東乎瑠(ツオル)から故郷を守るため、死を覚悟して戦う戦士団“独角”。
その頭であったヴァンは、妻と子を病で失い、失意のまま奴隷として岩塩鉱に囚われています。
ある夜、不気味な犬の群れが岩塩鉱を襲い、謎の病が発生します。

病が広がり村が全滅するなか、ヴァンは生き延びます。
そしてもう一人、同じく病から逃れた幼子ユナがいました。

不思議な運命の糸で結ばれたヴァンとユナの2人旅。
数々の巡り合いと、壮大な冒険の果てに、たどり着いた真実とは…。

■上橋菜穂子

作者の上橋菜穂子さんは、東京都生まれの児童文学作家、ファンタジー作家、そして文化人類学者です。

1989年に「精霊の木」でデビューしました。
代表作に、「精霊の守り人」や「獣の奏者」などがあります。


精霊の守り人/上橋菜穂子

「精霊の守り人」は、主人公バルサを綾瀬はるかさんが演じて、NHKでドラマ化されています。
「獣の奏者」のほうも、TVアニメ「獣の奏者エリン」として、NHKで放映されました。


獣の奏者/上橋菜穂子

ご覧になれば分かりますが、いずれも壮大な世界観で展開するファンタジー・ドラマです。

その世界観を形づくるのは、上橋節とも言うべき、架空の世界。
今回の「鹿の王」も、ツオルやアカファといった架空の国や、半仔(ロチアイ)や飛鹿(ピュイカ)といった空想の生き物が登場します。
はじめて見聞きする世界にもかかわらず、細部までコンセプトや設定が造りこまれているので、リアルな存在感を持って物語に飛び込めます。
架空の世界でありながら、そこに既視感があるような、同じときの流れの中で、扉の裏側にその世界が広がるような…。

この辺は、宮崎駿さんのジブリの世界に相通じるものがあると思います。
特に、「鹿の王」は、ヴァンが操る飛鹿の印象もあって、「もののけ姫」を想起します。
もちろんストーリーはまったく違うんだけど、瑞々しい感性が生み出す壮大な世界観は近いと思います。

その描く世界観は海外の評価も高く、
上原菜穂子さんは、児童文学のノーベル賞と称される「国際アンデルセン賞」を、2014年に受賞しました。

■もう一つの見所

壮大な冒険ファンタジー。これが物語の柱であるのは間違いありませんが、「鹿の王」はもう一つの柱があります。
それが医療サスペンスともいうべき、はかない命をめぐる医師の戦いです。

物語のもう一人の主人公として登場するのが、天才的な医療技術を持つホッサルです。
人々の命を奪う謎の病の治療法を探るべく、ホッサルは村々を訪ね歩き研究を重ねます。
そこに、奇跡的に病を生き延びたヴァンがいることを知ります。
ヴァンとホッサル。2人の主人公が出会ったとき、物語は新たな展開を見せます…。

本格的な医療ドラマと言っても過言ではない、精緻な設定と迫真の医療現場。
ホッサルの、自らの命を削ってまで真実を探ろうとする医療の戦いに、思わず「ガンバレ!」と声をかけたくなります。

そんな医療への熱い思いが受けて、「鹿の王」は、第4回日本医療小説大賞も受賞しています。

「精霊の守り人」や「獣の奏者」と同様に、映像化が期待されるところですが、
願わくば、宮崎駿さんとスタジオジブリにつくってほしい!…なんて勝手に空想しているところです。

ヴァンとホッサル。性格も生き様もまったく異なる2人が、それぞれのやり方ではかない命を守るべく戦います。
命をつなげ、愛する人を守れ!そして迎える、2人の戦いの結末は…!?

名作です。ありがとう、上原菜穂子さん、「鹿の王」!
ありがとう、角川文庫!第3、4巻は、7月下旬発売予定!

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