こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、「歴史人」2019年9月号「徳川将軍15代の真実」です。
■歴史人
いつも歴史ファンにたまらない情報を届けてくれる雑誌「歴史人」。
2019年9月号の特集は、「天下泰平20年の幕藩体制を支えた徳川将軍15代の真実」。
初代家康から秀忠、家光、家綱、綱吉、家宣、家継、吉宗、家重、家治、家斉、家慶、家定、家重、そして15代慶喜まで。
知っている名前もあれば、まったく知らない名前もあります。
そんな徳川15代を歴史人が総力を挙げて分析。
「最強の将軍は誰か!?」も独自のランキングで明らかにしています。
今日は、「歴史人」2019年9月号から、個人的にぐぐっと関心を引かれたところを紹介しましょう。
■江戸幕府はなぜ260年の長期政権になったのか
まずは、巻頭特集「江戸幕府はなぜ260年の長期政権になったのか」。
史上まれにみる長期政権となった徳川治世の謎を、歴史家の安藤優一郎氏がわかりやすく分析しています。
同氏が指摘する第一の理由は、権力を維持するための様々な仕掛けを施していたこと。
特に、参勤交代や大名間の婚姻禁止など、武家諸法度により外様大名を無力化したことが大きいと言います。
さらに鎖国政策により外国との貿易を幕府が独占したことも幕府の軍事力維持に一役買いました。
幕末期に、参勤交代の有名無実化や開国によって自ら長期政権に幕を下ろすことになるのは、なんとも皮肉なものですね。
次に指摘するのが、徳川将軍家の強大な軍事力。
徳川将軍家は、鎌倉期の源氏や室町期の足利氏と違って、将軍家自身が諸大名を圧倒する軍事力を握っていました。
これを可能にしたのが、将軍家を筆頭とした、御三家、譜代大名らで構成する強靭な親・徳川体制。
一方の外様大名に対しては、参勤交代や天下普請(いわゆる公共工事)を命じて戦力を削ぎました。
こうした長期政権を維持する巧妙なシステムを初期に構築できたのは大きいのでしょう。
また、後の頁に示されるように、4代家綱あたりから、武断政治から文治政治にうまく転換できたことも政権安定化につながりました。
ときに厳しく、ときに柔軟に、時代に合わせた統治体制が260年の長期政権を支えたと言えるかもしれません。
■15代将軍能力ランキング
続いて注目したのが、「発表!15代将軍能力徹底比較」。
徳川15代将軍のそれぞれの能力や個性にフォーカスをあて、将軍個人の実力を比較分析する企画です。
本誌では、政治手腕、健康、文事、武事、部下の5項目で、歴代将軍の実力を多角的に評価。
それぞれ5点のレーダーチャートで15代将軍を評価しています。気になるあの人の評点は…?
まずは最高評価を得ているのはやっぱりこの人。初代・家康です。
健康と文事が4点のほかは満点の合計23点。これは誰も異を唱えないでしょう。
一方、最低点となっているのが7代・家継。…知らないなぁ。
このひと、兄たちの早逝によって4歳にして将軍となった悲劇の将軍でした。
幼子で将軍となったことが心身を病んだのか、8歳で病没。「評価不可能なほどのレアケース」と評されています。
なお、その家継の後に将軍となったのが、8代・吉宗。暴れん坊将軍として有名ですね。
吉宗の評点は21点。これは、15代将軍のなかで家康に次ぐ評価です。
庶民の声を聴いた「目安箱」や優秀な人材の登用など、一連の享保の改革を推進して成果を挙げました。まさに中興の祖ですね。
このランキング、それぞれの将軍の小ネタも記載してあって読んでいて楽しいです。
たとえば、2代・秀忠は、「色黒に濃いヒゲ、腕やスネも毛深かった」。
14代・家茂は「歯が常人より弱く、甘党で虫歯がち」とか、そんな人物評も残っていたのかと感心するコメントも。
その他、家光、綱吉、慶喜など、気になるあの将軍の評点やコメントは、ぜひ本誌をご覧ください。
他にも、「歴代将軍で見る江戸幕府年表」では260年の治世を年表で振り返ったり、「将軍というお仕事」では将軍の1日を再現していたり、なかなかに盛りだくさんな内容です。
これ、徳川好きなひともそうでないひとも一読の価値ある特集ですね。
ありがとう、歴史人! ありがとう、徳川15代将軍!