「私は怪物を生き返らせてしまった」…浦沢直樹のミステリー漫画"MONSTER"

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、浦沢直樹さんの社会派ミステリー漫画「MONSTER」(モンスター)です。

■MONSTER

「MONSTER」(モンスター)は、浦沢直樹さん執筆による社会派ミステリー漫画です。

漫画雑誌ビッグコミックオリジナルに、1994年から2001年まで連載されました。
単行本では全18巻の長編漫画。後に完全版全9巻が刊行されています。

MONSTER 全18巻セット

浦沢直樹さんは、この作品で、敬愛する手塚治虫氏の名を冠した「手塚治虫文化賞漫画大賞」を受賞しました。

■あらすじ

舞台となるのは、ベルリンの壁崩壊前後のドイツ。
ドイツ・デュッセルドルフの病院に勤める日本人脳外科医・テンマは、天才的な医療技術を持ち、将来を嘱望されていました。

ある日、頭部を銃で撃たれた重症の少年ヨハンが病院に搬送されてきます。
テンマはその正義感から、院長の命令を無視して、少年の手術の執刀にあたり、命を救います。
しかし、院長の不興を買ったテンマは出世コースから転落します。

MONSTER(1)

そんな中、院長や外科部長らが病院内で殺害される事件が発生。
ときを同じくして、入院中だったヨハンと彼の双子の妹が失踪します。

それから9年後、外科部長となったテンマの前に、成長したヨハンが現れます。
ヨハンは、テンマの目の前で何の躊躇もなくテンマの患者を殺害。そして、過去の事件の犯人が自分であることを告白します。

「私は怪物を生き返らせてしまった…」。自責の念から、テンマは、「怪物」ヨハンの殺害を決意します。
一方で、警察から、ヨハンの犯した殺人の濡れ衣を着せられるテンマ。テンマの逃避行の旅がはじまります…。

次第に明らかになる真実。正義とは、家族とは、人間とは…。
そしてテンマとヨハンの対決の行方は…。

■人物描写

「MONSTER」は、浦沢直樹さんの代表作の一つ。個人的にも大好きな作品の一つです。

彼の作品の魅力の一つである、きめ細かな人物描写が、この作品でも随所に光ります。
基本のストーリーは、テンマとヨハンの2人の対決を軸に進むのですが、それを取り巻く多種多様な人物が、物語に深みを与えます。

MONSTER完全版(1)

一人一人のキャラクターや人生が精緻に描かれていて、それだけで一つの作品に仕上がっています。
登場人物の数だけストーリーが連なる、短編集と言っていいつくりとなっています。

ちょい役の登場人物も魅力的です。たとえば物語序盤で登場するヒューゴー・ベルンハルトという人物。
彼は、歴戦の傭兵で、いまはドイツ郊外で射撃を教えて生計を立てています。テンマも彼のところを訪れて、銃の扱いを習いました。
彼には心に深い傷がありました。それは軍人時代にミャンマー人女性を射殺したこと。贖罪のように、その娘を養女として育てています。

ヒューゴーも養女である少女も、テンマの人柄に触れるうちに次第に心を取り戻していきます
テンマを追う警察から取り調べを受けると、ヒューゴーは黙秘します。そしてその帰り道、彼を待つ少女の顔に、はじめて笑顔が浮かびます。テンマとの出会いを通じて、2人は父娘としての道を歩み始めたのでした。

■対決

もちろん、物語の中核であるテンマとヨハンの対決は予断を許しません。
正義感と慈悲の心に満ちあふれるテンマに対し、人の命を何とも思っていない殺人鬼ヨハン。
2人の対決は、まさに名と暗の対決と言えます。

MONSTER(6)

浦沢さんの代表作「20世紀少年」でも同様に、主人公ケンヂと「ともだち」の対立が描かれましたが、「明」と「暗」の葛藤は浦沢作品の大事なテーマの一つになっています。

人間は弱いから、どうしても権力や誘惑、打算に負けてしまうのでしょうね。だから、「暗」が「明」を圧倒する力を発揮します。
「MONSTER」でも、ヨハンの用意周到な罠に、テンマらが何度も挫けそうになります。

それでも、正義をつらぬこうとするテンマ。彼に心動かされ、助けられた人たちが、勇気を出してテンマを助けます。
ヨハンの双子の妹ニナ、テンマの元婚約者エヴァ、テンマを執拗に追う警部ルンゲ…。様々な「明」と「暗」が錯綜します。
「3匹のカエル」「なまえのないかいぶつ」「511キンダーハイム」…。巧妙に覆い隠された真相が明らかになったとき、ヨハンとテンマの最後の戦いが始まります。
果たして、テンマはMONSTER(モンスター)を倒すことができるのか…。

MONSTER別巻 なまえのないかいぶつ

名作です。命や愛、そして家族の大切さにあらためて気づかせてくれる、次代に残したい名作です。

ありがとう、「MONSTER」! ありがとう、浦沢直樹さん!

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