こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、江口寿史さんの傑作漫画、「すすめ!!パイレーツ」です。
■あらすじ
千葉パイレーツ。
野球好きの大富豪、九十九里吾作によって創設されたプロ野球球団です。
結成当初は日本一贅沢な球団として有力選手を獲得していましたが、オーナーの浪費グセがたたって球団はズタボロに…。
いつしか、「セ・リーグの恥」「日本プロ野球界の神経痛」とまで言われる超ダメ球団になりはてました。
そんなダメ球団を王者にするという夢を抱いて、16歳の左腕・富士一平が入団します。
しかし、彼の夢の前に立ちはだかるのは、犬井や猿山ら、まともにプレーする気のないチームメイトたちでした…。
■すすめ!!パイレーツ
「すすめ!!パイレーツ」。
人気漫画家・江口寿史さんの連載デビュー作です。1977年から1980年まで、週刊少年ジャンプに連載されました。
「ストップ!!ひばりくん!」と並ぶ、江口さんの代表作です。
プロ野球チーム「千葉パイレーツ」の選手たちの活躍を描く野球漫画。
と言っても、スポ根ものではなく、選手たちのドタバタぶりを描くギャグ漫画。
基本は、各話ごとにメインキャラが異なる、1話完結型のショートストーリー。
シリアスな野球漫画が全盛のなか、その作品をもパロディにして、新しい野球ギャグ漫画として人気を博しました。
■個性派メンバーたち
その「すすめ!!パイレーツ」の魅力は、なんといっても、多種多彩な登場人物たち。
一癖も二癖もあるキャラクターが、野球そっちのけでハチャメチャを繰り広げます。
今日は、この作品の最大の魅力ともいえる個性派メンバーたちを紹介します。題して「主役は俺だ!パイレーツ」。Here We Go!
富士一平
まずは、富士一平。背番号16、ポジションは投手。
第3話で初登場すると、熱血キャラで異彩を放ち、以降、実質的な主人公となりました。
ガールフレンド・菜津美が海外に旅立つ日、チームを勝利に導き、ヒーローインタビューで告白した回(涙の青少年の巻)は名作でした。
犬井犬太郎
続いて、犬井犬太郎。背番号10、ポジションは捕手。コーチを兼任してます。
作品の初期の主人公。年齢は連載当初50歳で、メンバーから一目置かれる存在。同級生の監督よりも態度がでかい。
最終話(パイレーツ・フォーエバーの巻)で現役引退を宣言。選手たちからやんやの喝采を浴びました。
猿山さるぞう
猿山 さるぞう。背番号20、ポジションは三塁手、投手。
元祖二刀流(?)。一平の入団前まではエースでしたが、打者のセンスを見込まれサードに転向。
その才能が描かれる回(恐怖のガンガン打法の巻)は、珍しく本気の野球シーンが描かれましたが、基本はギャグキャラ。犬井の相棒として終始ハチャメチャを繰り広げました。
粳寅満太郎
粳寅満太郎(うるとらまんたろう)。背番号59、外野手(主にライト)。
暴力団粳寅組の跡継ぎの強面スラッガー。サングラスの下に、母の遺伝による少女漫画風のつぶらな瞳が隠されています。
ライバル・馬留丹星児(ばるたんせいじ)が執拗に戦いを挑みますが、その妹・奈々が満太郎を好きになって…(おまえにほれたの巻)。
稲刈真青
稲刈真青(いねかりまさお)。背番号14、一塁手。
名前の通り、モデルは草刈正雄さん。昭和の沖田総司と称して、新選組の衣装で現れることもあります。
肺結核で死ぬと勝手に思い込んでおり、不吉な黒猫と戯れるうち「猫しばり」なる技を身につけます(日本一の誇りと郷土のホコリの巻)。
沢村真
沢村真。背番号1、ポジションは投手。
入団テストに突如現れて加入した美形投手。実は沢村真子(女)。生後すぐ亡くなった双子の兄・真が、身体を共有しているのです。
20歳を前に、決意を秘めたマウンドで完全試合を達成。真子の身体から消えました(さらば沢村!の巻)。
千葉修作
千葉修作。背番号7、外野手(主にレフト)。
強打の天才スラッガー。ただ、愛妻心が強すぎて、観客席の妻にファールを打った相手選手に跳び蹴りするなどハチャメチャ…。
その妻・久美子には高校時代に一目惚れ。彼女から「全打席でホームランを打てば付き合う」と言われ、猛練習を重ねて実現しました(愛のちかいのホームランの巻)。
梶野望都
梶野望都(かじのもと)。背番号19、投手。
名門梶野財閥の一人娘で、眉目秀麗・才色兼備。そんな彼女が生まれて初めて尊敬できる人に出会います。それが犬井でした。
犬井に心酔する彼女は、パイレーツに入団。いきなり時速165㎞の直球を投げました(天才と変態の紙ひとえの遭遇の巻)。
他にも、監督の日上金造や助っ人のジェロニモ、一平のライバル・花形見鶴、女スパイ・松原泉など、魅力的なキャラクターがいっぱい。
エピソードも当時の流行をとり入れていて、よき昭和の時代を偲ぶことができます。
この漫画を契機に、江口寿史さんは超人気の漫画家になっていきます。その活躍が予感される作品、「すすめ!!パイレーツ」でした。
ありがとう、パイレーツ! ありがとう、江口寿史さん!