徳川家康(18)関ヶ原の巻!家康と三成"天下分け目の戦い"両将はいかに臨んだか

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館長のふゆきです。

今日の夢中は、徳川家康(18)関ヶ原の巻!家康と三成"天下分け目の戦い"両将はいかに臨んだか…です。
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■あらすじ

慶長5年(1600年)9月15日、運命の戦いの火ぶたは切られました。
徳川家康率いる東軍7万5千対石田三成率いる西軍10万8千。ところは関ヶ原…。

ここに至るまで、家康は天下を宰領する覚悟を固め、会津攻めに招集した諸将を結集。
その主力を担ったのは、福島正則、黒田長政、浅野幸長、山内一豊ら豊臣恩顧の大名でした。

一方、毛利輝元を総大将にいだき、10万もの兵を集めた三成でしたが、内実は有象無象…。
東軍に内通していたものも多く、実際の戦闘に参加したのは三成麾下の限られた兵しかありませんでした。

そうした内実を象徴するかのように、西軍の小早川秀秋の寝返りによって戦況が大きく動きます。
小早川軍らの攻撃によって大谷吉継が討たれると、西軍は総崩れ…。その日の夕刻には、戦況は決しました。

東軍の大勝利…。これにより、豊臣から徳川の天下へと、日の本は新たな時代に移り変わってゆくのです。

■采配は不要

時代小説史に残る名著、山岡荘八「徳川家康」全26巻
第18巻「関ヶ原の巻」では、その巻名のとおり、天下分け目の合戦「関ヶ原の戦い」が描かれます。

徳川家康(18)

「天下分け目」と呼ばれる通り、両軍合わせて20万もの兵が戦ったとされる一大決戦。
これだけの大規模な合戦であれば、数か月に戦いが長引くこともありますが、関ヶ原の戦いは半日ほどで勝敗が決しました

巨匠・山岡荘八さんは、その戦いをつぶさに記述する過程で、両軍を率いる将…その器の違いを鮮明に映し出しました。
片や徳川家康は、目先の関ヶ原よりもさらに先の天下の行く末を見渡し、片や石田三成は、家康に勝利するため「人間は餌で動くものと冷厳に計算」して策を弄しました。

本書の中で、家康の覚悟のほどを示す興味深い記述があります。
それは逸話にも残る、「三成との戦いに采配は不要」と、家康が手づくりの采配を捨てるという場面。

関ヶ原の決戦に臨むにあたって家康の脳裏に、道半ばで潰えた2人の英雄の姿が浮かび上がります。

覇業の中途で倒れた信長の無理。大陸遠征を企てて晩節を汚した秀吉の無理。
いままた、家康の思案の奥に彼らと同じ無理はないであろうか?

そう思った瞬間に、家康は手づくりの采配をぽいと藪に捨てたのです。
不審に思った家臣から問われると「石治少に向うに采配は不要」と答えます。それは…。

戦場の指揮だけで天下の泰平は招来できるものではない。実際に人々を心服させ得るだけの「徳」と、自然の意志に叶う真理が背後に必要なのだという意味だった。

■戦に勝つだけでは済まぬ

さらに象徴的なシーンは続きます。いよいよ迎える関ヶ原の本戦を前に、家康と家臣らが意見を交わします。
本多忠勝は、中山道から行軍する徳川秀忠を待つべきと進言します。それに対し、家康は速戦を指示します。そのこころは…。

「こんどの戦いはのう、戦に勝つだけでは事の済まぬ戦なのじゃ」

「勝ったあとに、天下の乱暴者にビクとも言わせぬだけの余力を残し得るや否や」がカギだと、家康は続けます。
そのために秀忠軍をあえて遅れさせている…そんな記述も後に加わります。そして力強く、次のように言い放ったのです。

「家康が、まこと泰平を願う者ならば、中納言(秀忠)に余力を残し、老躯を駆って陣頭に起つ!それだけの覚悟をせねば済まぬところじゃ。いや、そうせねば神仏がお許しあるまい。要は天下の泰平のためなのじゃ」

その覚悟たるや、「老躯」とは思えない荒々しさ…。一方で別の見方をするなら、あえて徳川の主力たる秀忠軍を温存し、福島正則、黒田長政、浅野幸長ら豊臣恩顧の大名で決戦しようというのは、いかにも老獪…。将の器が規格外ですね。

■信じ得ないものは裏切られる

一方の石田三成は、人間は欲望により動くと思い込んで、毛利には執政の座、上杉には関八州、宇喜田には近畿…そうした「餌」を与えれば、容易に操り得るだろうと計算していました。
しかし、人間はそんな餌だけで動くものではありません。いざ関ヶ原の場面で、三成はその事実にようやく気付きます。

わしは人間を、あまりにいやしめていたのではないだろうか…?

愕然とする三成…。今さらながら、毛利輝元にも上杉景勝にも、人を介して策を弄していっただけで、直接会って真情を吐露することをしなかったことを後悔します。「これは、大変な過誤を犯していたらしい…」。

信じ得ないものは裏切られる…

そして、その三成の慚愧が現実のものとなります。餌をもって釣ったはずの小早川秀秋が寝返り…。
それを機に西軍は総崩れ。三成も捕らえられ、六条河原で斬首となったのです。

なかなかに含蓄に富むストーリーですよね…。今の時代にも通ずる真実が含まれているように思います。
こうして関ヶ原に勝利を収めた徳川家康。覚悟をもって天下を差配していくことになります。ただ、その行く手は決して平穏なものではありませんでした。

いまだ強大な財と権威を持つ豊臣家、秀頼と淀殿。そして、それをとり込まんとする一派…。
果して、日の本に天下泰平は訪れるのか…。続きはまた、当ブログ「夢中図書館 読書館」にて綴っていきます。

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