徳川家康(22)百雷落つるの巻!家康と秀頼の会見がついに実現…そのとき淀殿は?

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今日の夢中は、徳川家康(22)百雷落つるの巻!家康と秀頼の会見がついに実現…そのとき淀殿は?…です。
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■あらすじ

江戸に幕府を開いて天下泰平の向けて歩みを進める徳川家康
しかし、なお大阪には豊臣秀吉の遺児・秀頼があり、それを担ぎ上げる不運な動きがありました。

真の泰平には徳川と豊臣の和合が必須…。家康は秀頼との会見を要請、大坂方もこれを受け容れました。
そしてついに実現する両者の会見。ところは二条城。ものものしい警護が敷かれるなかで両者は8年ぶりに対面、周囲の心配をよそに終始和やかに会談は終了しました。

この会見が何事もなく終わったことを大坂・京堺の庶民は大いに悦び、天下泰平を祝う声が広がりました。
秀頼は無事に大坂城に帰還、城内にも喜びの声が広がります。ただ一人、秀頼の生母・淀殿を除いて…。

一方で、家康の足元でも泰平を揺るがす不穏な動きが蠢動します。世に言う大久保長安事件…。
長安が不正蓄財をし、そのうえ謀反も企んだとされ、一族は厳しく処断。これに家康六男・松平忠輝や岳父の伊達政宗も関わり、家康は難しいかじ取りを強いられます。

年老いた家康に残された時間はあと僅か…。にもかかわらず、次から次へと難題が降りかかります。
大坂、江戸、そして日の本の行方は?果して家康の望む真の天下泰平は訪れるのか…。

■二条城会見

時代小説史に残る名著、山岡荘八「徳川家康」全26巻
第22巻「百雷落つるの巻」では、家康晩年のさまざまな動き、豊臣秀頼との二条城会見や大久保長安事件、諸外国とのやり取りなどが描かれます。

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なかでも本巻のハイライトは、慶長16年(1611年)の執り行われた、徳川家康と豊臣秀頼の会見でしょう。
京都の二条城で行われたことから、「二条城会見」として後世に伝えられる史実。泰平の世来たりと庶民が湧いたという出来事で、物語でもその様子が描かれます。

特に、両者の親密さが描かれるのが、宴席が始まろうとする場面。酒盤に盛られた蒸し鯛を家康は、自ら毒見するように口に入れると、秀頼に口を開けて見せます。

どうじゃな秀頼殿、わしは又このように歯が生えましたぞ

それは、琉球の職人がこしらえた「入れ歯」でした。さらに家康は、海外製のガラスに長崎のべっこう職人が手掛けた「眼鏡」も見せます。

泰平の世というのは、さまざまなものを造りだしてみせまするぞ

何気ない場面描写ですが、だからこそ2人の親密さや泰平の尊さがよく伝わります。家康が大きく口を開けて、それを秀頼が覗き込む…。
そのおかしさに、秀頼に附いてきた加藤清正も笑いと涙を隠せません。そしてもう一人、この場に同席した高台院(豊臣秀吉の正妻)も「よかったのう若君」と涙するのでした。

■淀殿

ただ、この和気あいあいと終了した二条城会見を快く思わぬ人物がいました。大坂城にいた淀殿です。
彼女は、二条城から戻った大野治長から会見の場に高台院がいたことを聞くと、一気に不機嫌になります。

今回の秀頼上洛も実は高台院のさしがねだったのか…。旧知の加藤清正らと示し合わせて自分を追い出そうとしているのではないか…。
そこに喜びの表情の清正が現れたものだから、飛んで火にいる夏の虫…。清正が、懸命に今回の会見に不審なものはないと説明しようとも逆効果。一言「ご苦労様でした」と冷たくあしらわれました。

さらに矛先は、近習の織田有楽と片桐且元にも向けられます。高台院や清正が語らい合って秀頼を脅迫していたのではないかという、とんでもない妄言を放つと…。

有楽どのや市正(且元)で、どのような誓書をとって来たといわれるぞ。城も安堵、わが身も安堵と、大御所みずからお書きなされた証文、さ、この場へ出してみせてたも!

怒りは止まるところを知らず、ヒステリックに両者を糾弾…。ここまで来ると、駄々っ子を越えて病気ですね…。
世のなかも豊臣方大名も、おそらく秀頼自身も両者の和合を望んでいたはず。ただ、淀殿は反対しました。彼女の不安と嫉妬がそれを許しませんでした。

こうして、ようやく芽吹いたかに見えた両者の和合の道は、あえなく閉ざされることになるのです。
そしてそれは、避けられない運命のように大坂の陣へとつながっていきます。果たして家康の望む泰平の世はいつ訪れるのか…。

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