兄妹探偵が挑む奇怪な連続殺人事件 仁木悦子”猫は知っていた”

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、昭和の良き推理小説「猫は知っていた」をとり上げます。

■猫は知っていた

「猫は知っていた」は、日本のクリスティと呼ばれる仁木悦子氏による推理小説。
1957年、第3回江戸川乱歩賞を受賞した作品です。


猫は知っていた/仁木悦子

江戸川乱歩賞が公募となったのは第3回からですので、実質的には本作が初受賞作品ということになります。

作者の仁木悦子さんは、体に障害を持っていたため、ほぼ寝たきりの生活を送っていました。
そのために学校教育を受けられず、独学で知識を身に付けたという苦労人。

はじめは童話を描いていましたが、姉の影響で推理小説にハマり、やがて自身も推理小説を書くようになります。
そして書き上げたのが、長編推理小説「猫は知っていた」です。

「猫は知っていた」は、当初刊行を予定していた出版社が経営難に陥り、一時出版があやうくなりますが、それを救ったのは江戸川乱歩でした。
乱歩のすすめで、公募になった江戸川乱歩賞に応募することとなった同作品は、高い評価を受けて見事に江戸川乱歩賞を受賞。
作者の仁木悦子さんは、乱歩から「日本のクリスティー」と呼ばれました。それが1957年、昭和32年のことでした。

■あらすじ

主人公は、作者と同名の音楽大学の学生・仁木悦子と、その兄で植物学専攻の大学生・仁木雄太郎の兄妹です。

物語は、この2人が箱崎医院に下宿するところから始まります。
この箱崎医院で奇妙なことが起き出します。入院患者の一人が行方不明になり、箱崎家のおばあちゃんもいなくなります。
やがて事態は、奇怪な連続殺人事件に発展していきます。

それぞれ何か隠しているような住人たち。やがて明らかになっていく容疑者たちの過去と、それぞれに秘めた愛憎…。
現場に必ず出没する黒猫は何を見たのか。事件の真相を、猫だけが知っていた…

■ほっこり兄妹探偵

昭和の古き良き本格ミステリーです。
さすがは江戸川乱歩賞!…なのですが、江戸川乱歩作品と明らかに異なる特徴があります。

それは全編を通じた明るいユーモラスな空気でしょう。
探偵小説大好きで好奇心旺盛な悦子と、慎重に分析を進める雄太郎。この兄妹探偵の掛け合いにほっこりさせられます。

いま一つは、身近な名探偵による、身近な謎解き
金田一耕助もエルキュール・ポアロも登場しませんが、どこにでもいそうな兄妹が難解な事件に立ち向かいます。
その兄妹探偵が、それぞれの長所を生かした謎解きによって少しずつ真相に近づいていく姿に、おそらく誰もが感情移入しちゃうはず。

特に、いつも陽気で活動的な妹・悦子
寝たきりの作家・仁木悦子さんは、同名の少女探偵に、自らの夢を託していたのかもしれません。
仁木さんは、その後も仁木兄妹シリーズとして執筆活動を続け、元気な悦子を描き続けました。


私の大好きな探偵(仁木兄妹の事件簿)/仁木悦子

仁木悦子さんは、自らも難病と戦いながら、身体障害者の問題や戦争の問題など積極的な活動を行います。
プライベートでは歌人・翻訳家の後藤安彦さんと結婚。きっと充実した人生を送られたのではないでしょうか。
1986年、「日本のクリスティ」は、58年の生涯を閉じました。

「猫は知っていた」。昭和の本格ミステリー、お時間のあるときに読んでみてはいかがでしょうか。

ありがとう、仁木悦子さん! ありがとう、「猫は知っていた」!

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