こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、懐かしい漫画、小山ゆうさんの「がんばれ元気」です。
■あらすじ
堀口元気は、プロボクサーである父の影響を受けて、5歳からボクシングをはじめました。
しかし、その父親が「天才ボクサー」の異名を持つ関拳児との死闘の末、帰らぬ人となってしまいます。
ときが経ち、元気は祖父母のもとに引き取られますが、そこで密かにボクシングの練習に励みます。
元プロボクサーの三島栄司らの指導により成長を遂げた元気は、中学卒業と同時に単身上京。
目指すはプロボクサー。そして、父の果たせなかった夢、世界チャンピオン。
そのとき、父を倒した関は、圧倒的な強さで世界チャンピオンに君臨していました…。
父の所属していた永野ジムで、壮絶な練習に励む元気。
その元気の前に立ちはだかるライバルたち、そして元気を支える人たち…。
果たして、元気は世界チャンピオンになる夢を果たすことができるのか。
■がんばれ!元気!!
小山ゆうさんの漫画「がんばれ元気」。
1976年から1981年にかけて「週刊少年サンデー」に連載されました。
コミックスでは全28巻、ワイド版で全12巻。ボクシングを題材にした感動の名作です。
その特徴は、元気の成長ストーリーを描き切っていること。
5歳の幼少期から、ボクサーの夢を秘めたまま過ごす小中学期、そして上京して歩むプロボクサーの道…。
これが見事につながってるんですよね。関との因縁はもちろん、ライバル火山や恩師の芦川先生等、幼少期の登場人物が元気の成長に大きく関わっていきます。
人間ドラマとしての側面も見逃せません。
ボクシングを題材としながらも、元気を取り巻く家族やライバルたちのドラマ、恩師との別れや恋愛も描かれます。
これは、元気のあまりにやさしい性格に負うところが多いのでしょう。ときにそれは、ボクサー元気を窮地に立たせるのですが…。
そして迎えるクライマックス。関拳児との世界戦。
これは間違いなく漫画史上に残る一戦。試合に至る道筋も、試合も、そしてラストも、1頁も見逃すことができません。
そしてきっと、あなたも叫ぶはずです。「がんばれ!元気!!」って。
■ベストバウト3
そんな名作「がんばれ元気」の中から、個人的に特に印象に残った3試合を紹介しましょう。
題して、「がんばれ元気!個人的ベストバウト3」。心揺さぶられた3試合はこちらです。
まずは、元気の上京前のラストバウト。恩師・三島栄司とのスパーリングです。
中学時代の元気のトレーナーを務めた、元全日本学生チャンピオン。元気の成長を大きく促しましたが、彼は手の施しようのない重病に冒されていました。
そして迎える最後のスパーリング。元気は三島の病を知りません。そのラストはあまりに感動的であまりに切ないものでした…。
続いて、小学時代からのライバル、火山尊との対戦。東日本新人王を決める決勝のリングです。
火山は元気の1年先輩で、小学校から中学校、プロを通じたライバルです。彼と雌雄を決するのがこの試合でした。
しかし、火山が失明の危機を抱えていることを知った元気は、顔面を攻撃できないまま痛打を浴びダウンを繰り返します。
そして迎えた最終ラウンド。絶体絶命の元気は…。
そして、やっぱりこれは外せない。物語のクライマックスとなる世界戦、因縁の関拳児との対戦です。
この試合のために、元気はプロボクサーの道を目指し、あえて苦難の道を歩んできました。
そして、関もこの試合のために、全盛期の肉体とハングリー精神を取り戻します。何しろ、山籠もりして熊を倒すんだから強烈です。
物語に登場した人物すべてがこの一戦に注目します。圧倒的な強さの関に対して、元気が一撃逆転の思いを込めた拳。それは幼少期から磨き上げてきたある技でした…。
いやぁ、いま読んでも熱いものがこみ上げてきます。
ボクシング漫画の傑作、人間ドラマの傑作、「がんばれ元気」。おススメです。
ありがとう、元気! がんばれ、元気!