浦沢直樹「20世紀少年」 蔓延する謎のウィルス…"ともだち"を止めろ、ケンヂ!

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、浦沢直樹さんの名作漫画「20世紀少年」です。


20世紀少年(16)

■あらすじ

ときは1970年…
小学生のケンヂは、オッチョやヨシツネやら仲のいい友人と、原っぱに秘密基地をつくって遊んでいました。
ケンヂたちはそこで、悪の組織が地球を征服するというスケッチ、「よげんの書」を描きました。

ときは流れて1997年…
コンビニの店長としてあくせく働くケンヂの周囲で不可解な事件が相次いで起こります。
そしてケンヂは、世界各地で起きる異変が、自分たちが空想した「よげんの書」どおりであることに気づくのです…。


20世紀少年完全版(1)

やがて、ケンヂの前に現れる、黒幕「どもだち」
ときは2000年の大みそか。「よげんの書」で人類が滅亡するとした「血の大みそか」がやって来ます…。

ケンヂは人類の滅亡を食い止めることができるのか?
「よげんの書」で描かれた未来とは…?そして「ともだち」の正体とは…?

■20世紀少年

これまでも当「夢中図書館」で、作品を多く紹介してきた浦沢直樹さん。大好きな漫画家です。
今日紹介するのは、浦沢さんの代表作の一つ「20世紀少年」です。

同作品は、続編の「21世紀少年」を含めて、1999年から2007年まで「ビッグコミックスピリッツ」で連載されました。
単行本化もされていて、「20世紀少年」は全22巻、「21世紀少年」は上下2巻が刊行されています。

何と言っても、その魅力は、ミステリアスなストーリー
1970年と現代を行ったり来たりしながら、「ともだち」の謎を解き明かしていきます。
幾重にも張り巡らせた伏線は、これまでの少年漫画の概念を超えたもの…。

物語の鍵を握るいくつかの出来事が、読者を「20世紀少年」の世界に引き込みます。
「よげんの書」、「首つり坂の事件」、「1970年の嘘」、「ともだちランド」…。


21世紀少年完全版(5)

登場人物の多さも、謎が謎を呼ぶ一因となるのですが、脇役一人一人が魅力的
ケンヂ一派はもちろん、その協力者たち、さらには敵対するともだち一味も、ひと癖あるキャラばかり。
例えば、ケンヂの姪カンナを狙う「ホクロの警官」なんて、チョイ役だけど、むちゃくちゃ存在感ありました。

同作品は、映画化もされて人気を集めました。なんと3部作!堤幸彦監督で、2008年から2009年にかけて公開されました。
出演陣も、ケンヂは唐沢寿明さん、オッチョは豊川悦司さん、ヨシツネは香川照之さん、カンナは平愛梨さんなど、豪華キャストです。
ちなみに、「ホクロの警官」はブレーク前の佐藤二郎さんが演じています。どハマリですね!

■よげんの書

物語の鍵を握る、ケンヂが小学生の頃に描いた「よげんの書」
原っぱの秘密基地で悪友たちと、悪の組織が地球を征服するという架空の未来を落書きしたものでした。

サンフランシスコで細菌兵器が散布される…。
ロンドンで細菌兵器が散布される…。
大阪で細菌兵器が散布される…。
羽田空港が爆破される…。
国会議事堂が爆破される…。
そして2000年12月31日、東京に巨大ロボットが襲来…。
世界各地で細菌兵器が散布される…。

描いたケンヂですら忘れていた「よげんの書」ですが、現実の世界でその内容をなぞらえた事件が発生します。
まさに「予言書」になってしまった「よげんの書」…。
物語のなかでは、さらに「しんよげんの書」も登場して、予言を食い止めようとするケンヂと黒幕「ともだち」の熾烈な戦いが描かれます。

このストーリー、ちょっとドキリとしますよね…。
世界に蔓延する細菌って、なんか今の時代の新型コロナウィルスみたい…。

実は、映画「パラサイト」でアカデミー賞を受賞したポン・ジュノ監督も来日インタビューで答えていました。
「最近の状況を見ていると、浦沢直樹さんの『20世紀少年』を思い出します」と。

「ともだち」によって散布された殺人ウィルスは、瞬く間に世界に拡散し人々の命を奪っていきます。
やがて開発されるワクチン。しかし、そこからさらに悲劇が拡散していきます。ワクチンをめぐって凄惨な殺し合いが起きるのです…。


21世紀少年完全版(16)

現実の世界は、決して「よげんの書」のようにはなってほしくない…
物語では、ケンヂが果敢に立ち向かいます。その姿は決してヒーローじゃない。だけど、心を失った世界の一筋の「希望」でした。
そして、その「希望」は、多くの人たちの心をつなげていくのです…。

物語は二転三転。幾度かの大きな山場を経て、ラストを迎えます。
最後の最後に明かされる「ともだち」の正体とは…?

漫画を超えた漫画。浦沢ワールド全開。
「20世紀少年」。今だからこそ読み直したい作品です。

ありがとう、20世紀少年! ありがとう、浦沢直樹さん!

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