徳川家康(13)侘茶の巻!秀吉の小田原征伐、そして家康は関東江戸へ…その胸中は?

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館長のふゆきです。

今日の夢中は、徳川家康(13)侘茶の巻!秀吉の小田原征伐、そして家康は関東江戸へ…その胸中は?です。
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■あらすじ

ついに上洛を果たし秀吉への臣従を誓った家康…。
これを機に秀吉は九州平定を成し遂げると、京に絢爛な聚楽第を構築。天下人としての地位を固めていきました。

しかし、その秀吉に従わぬ者が関東にいました。小田原を本拠とする北条氏です。
上洛を果たさぬ北条氏に、ついに秀吉は兵を向けます。家康は先鋒を命じられました。


(小田原城/写真ACより)

攻め寄せる圧倒的な大軍を前に、小田原の評定は二転三転。やがて戦意は失われていきました。
そのようななか、秀吉は家康に関東への転封を命じるのです…。激怒する家臣団。家康はどう家中をまとめるのか?

さらに、秀吉に待望の子が生まれます。その子を産んだ側室・茶々はやがて「淀の方」と呼ばれるようになりました。
権勢を大いに高める秀吉。一方、未開の地・江戸へ移る家康。はたして、天下の行方は…?

■家康の関東移封

時代小説史に残る名著、山岡荘八「徳川家康」全26巻
第13巻「侘茶の巻」では、秀吉の聚楽第構築から小田原征伐までが描かれます。

徳川家康(13)

まさに、秀吉の絶頂期ともいえるこの時期、家康も大きな転機を迎えます。
それが、家康の関東移封。彼の後半生を決定づける江戸入府に至る経緯が本巻で描かます。

伝承では、小田原征伐の最中、秀吉と家康が連れ小便をしながら関東移封を申し渡したと言われていますが…。
本巻では、さすがにそのシーンはないものの、秀吉が無邪気に家康に「ここから並んで尿を放って見ぬか」と声を掛けます。

そして「とんでもない」と固辞する家康に対して、「どうじゃな、この小田原城は?」とやんわりと関東移封を迫っていくのです。
本書に「家康はついに秀吉に屈服したのだ」と記される場面…。ただ、従順を示す家康の胸にはある決意がありました。

父祖伝来の三河や遠江の地を離れることに対して、いきり立つ家臣団
なぜ移らなければならないのか…不満渦巻く家臣たちに対して、ついに家康が口を開きます

「他言は許さぬぞ。これはの、天下取りの準備…になるやも知れぬと見たゆえ、いわるるままに移るのじゃ」

家臣らは息をつめます。彼らがずっと聞きたかった言葉、しかし主君が決して口にしなかった言葉…「天下取り」
その言葉をとうとう口にしたのです。家康は続けます。いずれ秀吉が朝鮮出兵に踏み出すこと、出兵の要請があるだろうこと…。

そのとき、新たに町をつくり、城づくりをしなければならない、小田原の残党狩りをして一揆が起こらないようにしなければならない。
忙しい!手は離せぬ…そのように関白が運んでくれたというのは何という仕合せであろうか」。

■家康のリーダーシップ

さらに、家康は江戸の地の可能性を伝えます。今は荒れ地でも「その位置も、地形も、努力次第で無限に開ける沃野の中心をなしている」。
問題はそれを皆が希望として結束できるかだと言われると、酒井忠次や本多忠勝などは不満一転、家康に従い江戸を開くことを誓うのです。

この辺り、家康のリーダーシップの神髄が垣間見られます。トップから大きなビジョンを示された部下の心は大きくふるえたことでしょう。
しかも、それを結実できるかどうかはお前たち次第だって…キラーワードですね。こうした強い絆で繋がった家臣団がいることが家康の強みであったことは間違いありません。

彼らにしてみると、単なる移封でありません。その先に待望の天下が見える東行(あずまこう)。
家康は強く言い放ちました。「もう一度三方ヶ原に馳せ向かったあの気負いで天下への道をめざし、関白の結いあげた鉄の環の中に乗り込もう」。


(徳川家康しかみ像)

さらに本巻では、秀吉と家康に関わる女性の悲喜こもごもが描かれます。
秀吉の奢りを心配する寧々。一方で、秀吉の子を身ごもり権勢を増す茶々。さらに、秀吉と家康の間で運命を狂わされた朝日(秀吉の妹で家康に再嫁)。

その朝日が最期のときを迎えます。彼女がわが子のように溺愛する秀忠を呼び寄せると、いとおしむように特別な衣装で着飾らせます。
ただそのとき、彼女の眼にはもうハッキリと秀忠が見えていませんでした。そして迎える最期。それは切なく儚く、涙を禁じ得ないものでした…。

こうして秀吉と家康は、それぞれの思惑を胸に抱きながら、新たな地に拠点を移しました。
そして迎える新たな時代…。果たして秀吉と家康の運命はいかに。泰平の世は訪れるのか…。

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