宮城谷昌光「青雲はるかに」 ビフォー・キングダム!天才宰相の波乱の人生とは?

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今日の夢中は、宮城谷昌光「青雲はるかに」 ビフォー・キングダム!天才宰相の波乱の人生とは?です。
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■あらすじ

ときは、中国戦国時代の末期
青雲の志を抱く青年・范雎(はんしょ)は、親友の鄭安平の妹の病を治すために、悪名高い魏の宰相・魏斉のもとに仕えます。
しかし、魏斉から斉の間者であると疑われると、范雎は拷問にかけられ、無実の罪で殺されかけました。

鄭安平の助けにより一命をとり止めた范雎は、秦に逃れます。
猛将白起のもと、破竹の勢いで領土を拡大する秦軍。しかし、その恩恵にあずかるのは宣太后ら一部権力者に限られていました。

そうした秦の行く末を憂う范雎は、ときの君主・昭襄王と運命的な出会いを果たすと、天下の秘策「遠交近攻」を献じます。
やがて秦は、范雎の戦略のもと版図を拡大。さらに王権の内憂を取り除くと、巨大帝国の礎を築いていきました。

そして迎える仇敵・魏斉との対決。范雎は積年の恨みを晴らすことができるのか…。
始皇帝の出現前夜、中国戦国期を終焉に導く天才宰相・范雎を描く、壮大な歴史長編です。

■恩讐に必ず報いる

主人公の范雎は、中国戦国時代末期に実在した天才宰相です。
史記の「范雎・蔡沢列伝」にもその活躍が描かれる、中国の英傑の一人です。


青雲はるかに(上)

この范雎の人生の急転直下ぶりがすさまじい…。
前半生は、あまりに凄惨です。魏斉にスパイ容疑をかけられると、苛烈なむち打ちにより歯や肋骨を折られ、さらには厠室に捨てられました。

やがて范雎は、張禄という偽名を使って秦に逃げますが、その恨みを決して忘れませんでした。
秦の宰相にのし上がった張禄が范雎であることを知らず、魏斉の家臣が秦を訪問すると「魏斉の首を持ってこい」と恫喝します。さもなければ、魏を滅ぼすと。

魏斉に対する復讐が、物語の大きなクライマックスとして描かれます。
こうした一国をかけた復讐に限らず、范雎という人物は、睨み付けられただけの恨みにも必ず報いたと言います。
一方で、世話になった人たち、特に自分を助けたために困窮に陥った人たちには、全財産を投げうって報いました。
その小さな恩讐にも報いる姿勢は、「睚眦(がいさい)の恨み」という故事にもなっています。

■遠交近攻

そんな英傑・范雎が秦の昭襄王と出会ったことから、歴史が大きく動き出します。
このとき、范雎が提唱したのが、後の秦帝国を伸長させる献策「遠交近攻」です。
それは、秦から遠い国(趙・楚・斉)と交わって、秦から近い国(魏・韓)を攻めるべきというものでした。


青雲はるかに(下)

それまで秦の外交戦略は、魏や韓と同盟して、斉を討とうというもの。
当時の中国戦国時代では、西の大国が秦、東の大国が斉。秦は斉をライバル視していたんですね。

それを大きく転換させる「遠交近攻」は、実はきわめて理にかなっていました。
遠く離れた斉に勝っても、その領土をを保持することは難しい。一方で、隣りの魏や韓を攻めれば、その領土を併呑して版図を拡大することができる。
その方針がズバリはまって、秦はこの後、巨大帝国を築いていくことになるのです。

ちなみに、この昭襄王は、漫画「キングダム」で描かれる秦王・政の曽祖父にあたる人物。
ここから数十年後に、秦の始皇帝・政により中国全土が統一されることになるのです。


キングダム(2)

漫画「キングダム」につながる、英雄たちの栄枯盛衰を描く物語。
ビフォー・キングダムを描いた傑作小説「青雲はるかに」。おすすめです。

ありがとう、青雲はるかに! ありがとう、宮城谷昌光さん!

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