こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、「歴史人」2021年3月号、「古地図と現代地図で歩く、江戸・京都・大阪」です。
■歴史人
いつも歴史ファンにたまらない情報を届けてくれる「歴史人」。
2021年3月号の特集は、「古地図と現代地図で歩く、江戸・京都・大阪」です。
江戸、京都、大阪。
日本の歴史の中で重要な役割を果たしてきた三大都市。
今も世界に誇る大都市ですが、それぞれに個性や魅力がありますよね。
「江戸の履き倒れ」「京都の着倒れ」「大坂の食い倒れ」なんてフレーズがあったり。
「歴史人」では、幕末の儒学者・広瀬旭荘の見立てを紹介しています。
▶江戸のひとは、血の気が多く、肩書を重視する。
▶京都のひとは、気位が高く、京都という土地を重んじる。
▶大坂のひとは、バイタリティーがあって、富を大事にする。
どうでしょう…。人それぞれですが、なんとなく今にも通じる気質に見えますね。
こうした違いは、それぞれの都市が辿ってきた歴史や関係性に起因している…。
そんな視点から、「歴史人」が三都の歴史を読み解きます。
今日は、同誌の特集「古地図と現代地図で歩く、江戸・京都・大阪」をとり上げます。
■江戸
まずは、江戸の歴史から。
徳川家康によって幕府が置かれた都市、江戸。
しかし、家康の入府前から、江戸は城下町として発展していました。
室町時代の中頃、太田道灌が江戸に城を築きました。それは、江戸が東国における陸上・水上交通の要衝であったから。
その街のポテンシャルは、家康によって大きく引き出されます。
広大な土地を開発して都市基盤を整備すると、幕府開設によって日本ナンバーワンの都市に一気に登り詰めました。
この流れを決定づけたのは、参勤交代制でした。
諸大名が大勢の家臣を連れて江戸に住んだため、武士の人口が急増します。急速に武士の街が形成されたんですね。それに合わせて、武士の生活を支える町人の人口も増えました。
こうして、江戸は人口100万を超える大都市に成長したのです。
なお、本誌には、古地図と現代地図でたどる「江戸の名所めぐり」が紹介されています。
家康入府の際、最初に整えられた町人エリア「日本橋」、庶民が愛した花火と相撲の名所「両国」など、古地図や錦絵が当時の賑わいを今に伝えてくれます。
品川の潮干狩りの浮世絵なんて、今では信じられないですね…。遠浅の海は、行楽の潮干狩りが人気だったんだって。楽しそうです。
■京都
続いて、古都・京都。
延暦13年(794年)、桓武天皇が平安京を築いて以来、京都は日本最大の人口を誇る大都市となりました。
しかし、江戸に幕府が開設されると、政治都市としての機能を奪われ、人口も江戸に抜かれてしまいます。
それでも京都は、天皇の御所として存在感を維持し続けます。仕える公家たちは、独特の気位の高い文化を育みました。
幕末に入ると、京都の政治的地位が急浮上します。尊皇攘夷運動がぼっ発、政治の舞台が江戸から京都に移りました。
公家たちも息を吹き返しました。王権奪取に向けて暗躍する者も…。
幕臣や藩士も京都に大勢住むようになります。京都の人口は急増し経済が活性化しました。
こちらも本誌に、古地図と現代地図でたどる「京都の名所めぐり」が紹介されています。
庶民の台所であった錦市場、都の出入り口・三条大橋、京都御所など、古地図や美しい錦絵が掲載されています。
祇園大鳥居や三十三間堂の浮世絵を見ると、京都は昔から観光地として多くの人が訪れていたようですね。今も魅力は変わりませんね。
■大阪
そして、最大の商都・大阪。
実は平安京より先、難波京が置かれた時代もありました。戦国時代には石山本願寺が当地を治めました。
この大阪の地に城を築き、他に類を見ない活気ある都市に発展させたのが豊臣秀吉です。
天下人となった秀吉は、当地に大阪城を築き、広大な大阪平野に一大城下町を造り出しました。
大阪は経済の要衝でもありました。大阪湾に面し、淀川・大和川など水上交通の拠点として物資が行き交います。
家康によって豊臣家が滅ぼされても、経済都市としての地位は衰えませんでした。
むしろ、上方の商人は経済の世界では江戸を凌ぐ力を示しました。こうして大阪は、江戸開府後も「天下の台所」と呼ばれる商都となったのです。
本誌には、古地図と現代地図でたどる「大坂の名所めぐり」が紹介されています。
豪商で賑わう堂島・船場、天満組の大坂三郷キタ・ミナミなど、特に人々の賑わいを示す浮世絵が多く掲載されています。
町人の街なんですね、大阪は。市場やお祭りなど、生き生きとした町人たちが描かれます。今にも通じますね。
他にも、三都の発展を時系列で追いかけた年表や人口データなど、歴史人ならではの興味深い分析が盛り沢山。
江戸・京都・大阪、三都の歴史がよく分かります。それぞれの街が好きになる、そんな特集でした。
ありがとう、歴史人! ありがとう、江戸・京都・大阪!