舞台は京都!怪しく燃ゆる”火車"から京の町を救え!羽州ぼろ鳶組「鬼煙管」

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館長のふゆきです。

今日の夢中は、舞台は京都!怪しく燃ゆる"火車"から京の町を救え!羽州ぼろ鳶組「鬼煙管」…。
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■羽州ぼろ鳶組

江戸の火消たちを主人公にした時代小説「羽州ぼろ鳶組」シリーズ
これまでシリーズ1作目から3作目まで、当夢中図書館で紹介してきました。

幕開けとなる1作目「火喰鳥」は、羽州ぼろ鳶組と主人公・松永源吾の復活ストーリー。
ある事件をきっかけに火消をやめた「火喰鳥」松永源吾が、羽州新庄藩から請われて火消組織の立て直しに奔走します。


火喰鳥

2作目「夜哭鳥」では、江戸の火消を狙う卑劣な敵に、羽州ぼろ鳶組が単身立ち向かいます。
江戸一番の火消と言われる加賀鳶を率いる「八咫烏」大音勘九郎の葛藤と江戸火消の心意気が最大の見せ場です。


夜哭鳥

3作目「九紋龍」では、最凶の盗賊・千羽一家が江戸を荒らす中、最強の町火消・辰一と源吾らぼろ鳶組が奮戦しました。
「任せちまって悪いな。俺は、あの日の俺を救いに行く!」。終盤で源吾が発する言葉にどれほど心を揺さぶられたことか…。


九紋龍

そして本作「鬼煙管」。シリーズ4作目は、はじめて京都が舞台
京の町を襲う怪しい炎「火車」…この難事件を解決するために源吾は急ぎ京都に向かいます。源吾を呼んだのは、これまで江戸で共に火付け犯を追い、今は京都西町奉行を務める「鬼煙管」長谷川平蔵でした…。


鬼煙管

京の町を舞台にした「羽州ぼろ鳶組」シリーズ4作目。タイトルは「鬼煙管」
むむっ…。タイトルからして平蔵が重要な鍵を握るのは明らか…。それでは、まずはあらすじから。

■あらすじ

「松永、どうか力を貸して欲しい。火急のことである。」
火を用いた奇っ怪な連続殺人を止めるため、京都西町奉行長谷川平蔵が援けを求めたのは、羽州ぼろ鳶組の頭取・松永源吾でした。

京都西町奉行長谷川平蔵から届いた文に、尋常ならざるものを感じた源吾は、急ぎ旅支度をして京に向かいます。

連れ立つのは、ぼろ鳶組の名探偵・星十郎と、龍吐水を自在に操る魁の武蔵
その前に立ちはだかるのは、京の町を舞台に奇怪に火を操る火付け「火車」でした。

京で活躍する火消・野条弾馬、平蔵の息子・銕三郎など、魅力的な新キャラも登場
源吾は「火車」から京の町を救えるのか。平蔵の決死の覚悟は息子・銕三郎に届くのか。

■父子の物語

シリーズ4作目は、いささかシリアスに物語が展開します。
それは、舞台が京都ということで、いつもの羽州ぼろ鳶組の面々が勢ぞろいというわけにはいかなかったことも大きいでしょう。

特に、ぼろ鳶組のずっこけ担当(?)、新之助や彦弥が留守番になったことは、これまでと趣を異なるものにしています。
無くして分かる貴重な存在ということでしょうか…(苦笑)。

ただ、それ以上に物語にシリアスさを醸しているのが、2つの父子の物語です。
一つは、源吾の弟分・武蔵と、その父・岩治。いま一つは、鬼煙管・長谷川平蔵と、その息子・銕三郎。


鬼煙管

まずは、源吾の弟分・武蔵とその父・岩治の物語…。
武蔵が火消になる契機となった父親の事件は胸に詰まるものがあります。
本作で一気に重要キャラとして地位を挙げた武蔵、今後の活躍がますます楽しみになりました。

それにも増して、心震わされたのが平蔵と銕三郎父子の物語
互いを思いながらも、距離を詰められない父子…。物語終盤で、平蔵が銕三郎にかける言葉があります。
何気ない父子のやり取りに込められた数十年分の思い。その真意が明らかになったとき、誰もがあふれる思いに胸がつまるはずです…。

そして、今回も理想の上司(ふゆき評)源吾がしびれる言葉を放ちます。例えばこんな感じ。

「火消は人の命を見捨てねえ。最後の最後まで諦めやしねえ!こちとら、江戸でもぼろ扱いさ。人の目が怖くて火消ができるか!」

かっこいいなぁ、源吾。ほんと、こんなリーダーがいたら、もっとマシな世の中になるだろうに。
実は、源吾ももうすぐ、はじめて子を持つ父親になります。「生まれて来る子に会いたい」。誰もが願うその思いに、源吾は…
父子の物語は、2つじゃなくて3つなのかもしれませんね。

「火車」が襲う京の町。源吾はそれを食い止めることができるのか。平蔵の決死の思いは届くのか。
羽州ぼろ鳶組シリーズ4作目「鬼煙管」。息もつかせぬ傑作です。

ありがとう、羽州ぼろ鳶組! ありがとう、源吾! ありがとう、平蔵!

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