こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、歴史人「鬼と呪術の日本史」壮絶!酒呑童子対源頼光…鬼と鬼狩り対決の行方は?です。
「夢中図書館 読書館」は、小説や雑誌などの感想や読みどころを綴る読書ブログです。あなたのお気に入りの一冊を見つけてみませんか?
■歴史人
いつも歴史ファンにたまらない情報を届けてくれる「歴史人」。
2023年6月号でとりあげるのは、なんと「鬼」…。
神話の時代から現在まで、鬼は日本史に幾度となく登場してきた…。
日本の鬼と鬼狩りの歴史がまるわかり!保存版特集「鬼と呪術の日本史」です。
なんとも驚きの特集ですね…。「歴史」というよりは「物語」の世界の存在とも言える「鬼」を取り上げるとは…。
ただ、鬼が登場するのは、桃太郎や一寸法師などの日本昔話だけではありません。
古事記や日本書紀から源氏物語や今昔物語、江戸時代の百鬼夜行絵巻など、日本の歴史には鬼が幾度となく登場しています。
最近では、漫画「鬼滅の刃」で一気に鬼が注目の存在となりましたね。
鬼とは何か?妖怪、災い、怨霊…。禍々しい存在なのか、それとも…?
日本各地の伝承や民俗芸能、歴史書・古典を辿りながら、歴史人が「鬼」の歴史をひもときます。
今日の夢中は、これを読んだらあなたも鬼殺隊?日本の鬼狩りの歴史もまるわかり。
歴史人特集「鬼と呪術の日本史」。歴史人の誌面から、鬼と鬼狩りの歴史を辿っていきましょう。
■鬼とは何か?
かつて、これほど克明に鬼の歴史を追った特集はあったのでしょうか…。
それほど気合いの入った企画です。それが「歴史人」2023年6月号の保存版特集「鬼と呪術の日本史」。ざっくりと本号の構成を紹介すると次のとおり。
まずは巻頭に、歴史学者で世界鬼学会会長(!)八木透さんの寄稿「鬼とは何か?」。
早速ここで金言がとび出します。「嫉妬・怨み・憎悪ー本当の鬼は人の内部に存在する」。さすがは世界鬼学会会長…重い一言ですね。
さらには、鬼の名前の由来や定義、その系譜などをまとめた「鬼の基礎知識」。
続いて「日本の『鬼』大図鑑」では、民話や歴史に登場する46種の鬼を紹介。「日本全国鬼マップ」という珍しい地図も掲載されています。
そして、鬼と戦った英雄たち…「鬼を討った英雄十傑」!元祖「鬼殺隊」というべき英雄たちの活躍譚が記載されています。
「鬼を狩った刀剣」なんていう章もあります。これも、現在「刀鍛冶の里」編が放映されている「鬼滅の刃」ファンにはたまらないのではないでしょうか。
他にも「呪術の歴史と呪術師の真実」「呪術師列伝」なんていう、ちょっとディープな記事も…。
陰陽師・安倍晴明などが載っているので、こちらもコアなファンにはたまりませんね。
■酒呑童子対源頼光
そんな「鬼」特集のなかから、個人的に特に興味深かったのは鬼と鬼狩りの対決。
歴史に記されている、元祖「鬼殺隊」とも言える鬼狩りと鬼との戦いです。
いくつか本誌に掲載されていますが、なかでも有名なのが「酒呑童子」(しゅてんどうじ)の逸話でしょう。
酒呑童子は平安時代に京の都を恐怖に陥れたという鬼。大江山で鬼軍団をつくった「鬼の総大将」です。
「鬼軍団」という通り、酒呑童子のもとには強力な鬼たちが付き随っていました。
中でも手ごわかったのが茨木童子と四天王(熊童子、虎熊童子、ほしくま童子、かね童子)。なんだか「鬼滅の刃」の上弦の鬼を想起しますね…。
(写真はイメージです)
これら凶悪な鬼と対決したのが、名門清和源氏の血を引く源頼光(みなもとよりみつ)でした。
当時権勢を誇った藤原道長に仕え「朝廷の守護」と呼ばれる信任を得た実在の人物。鬼退治だったかどうかは別にして、武功を挙げた勇士だったと思われます。
頼光のもとにも、彼の戦いを支えた「四天王」と呼ばれる4人の部下がいました。
その4人とは、渡辺綱、坂田金時、碓井貞光、卜部季武。いずれも並外れた武勇をもって鬼を退治しました。ちなみに、坂田金時は物語「金太郎」で知られる力持ち。マサカリを担いでいたのでしょうか…?
(イラストはイメージです)
この両軍の戦いは壮絶を極めます。頼光一行は、山伏に変装して大江山に向かうと、巧みに鬼たちに取り入り「神便鬼毒酒」という鬼が飲むと動けなくなる霊酒を飲ませます。
そしてついに眠りについた酒呑童子に名刀「童子切安綱」を振り降ろすと、その首を刎ねました。酒呑童子は身の丈2丈(約6m)の巨漢。刎ねた首は舞い上がって頼光の兜に喰らいついたといいます。
このとき頼光四天王も武勇を振るって、鬼の四天王らを討ち取りました。
なお、茨城童子だけは逃げ延びたという逸話があり、その後渡辺綱と一条戻り橋で対決、綱が鬼の腕を斬り落として撃退しました。この両者の対決は歌舞伎「茨木」などで後世に伝えられています。
いやぁ…、これは平安時代の「鬼滅の刃」。元祖「鬼殺隊」と「鬼」の対決ですね…。
ただ、頼光一行が討ち取ったのが本当に鬼だったかは疑問…。実態は、朝廷に反逆した地方勢力の討伐だったのではないかとも言われています。
その他にも本誌には、さまざまな「鬼」や勇猛果敢な「鬼狩り」が紹介されています。
これを読んだらあなたも気分は「鬼殺隊」。今日の夢中は、歴史人「鬼と呪術の日本史」でした。
ありがとう、歴史人! ありがとう、特集「鬼と呪術の日本史」!