こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、週刊ベースボール2017年8月7日号特集「夏を支配した剛の者 甲子園怪物伝」です。
■怪物がいた夏
いよいよ夏の甲子園が近づいてきました。
早稲田実業・清宮フィーバーで、いつになく沸いた夏の甲子園予選。
残念ながら清宮の夏は終わってしまいましたが、新しい怪物の登場を日本全国の高校野球ファンが楽しみに待っています。
甲子園は、これまで数多くの怪物を生んできました。
週刊ベースボール2017年8月7日号は、「怪物がいた夏」をテーマに、甲子園特集を組んでいます。
怪物と、怪物に挑んだ男たち。
それぞれの興味深いドラマはとても読み応えがあるものとなっています。
この特集で、「怪物」としてクローズアップされているのは、次の5人です。
田中将大、松坂大輔、ダルビッシュ有、松井秀喜、藤浪晋太郎。
いずれも甲子園を大いに沸かせた怪物たち。その実力は、プロ野球あるいはメジャーリーグでも発揮されています。
そのなかで、当「夢中図書館」では、個人的に、特に印象に残っている2人の怪物を紹介しましょう。
■田中将大
まずは、2006年夏の怪物、田中将大。現ニューヨーク・ヤンキース。
当時は、駒大苫小牧高の絶対的なエースとして甲子園を沸かせました。
球史に残る2006年の夏の甲子園決勝。
”ハンカチ王子”斉藤祐樹が率いる早稲田実業との壮絶な死闘は、延長15回で決着がつかず、37年ぶりの決勝引き分け再試合となりました。
再試合も熱戦となりますが、早実・斉藤が投じた118球目がキャッチャーミットにおさまります。
空振り三振でゲームセット。早実が4対3で勝利。最後のバッターは田中でした。
誌面では、その怪物に挑んだ斉藤祐樹へのインタビューを掲載しています。
斉藤は、11年前の激闘を振り返り、田中が大会直前に体調を崩した影響で本調子でなかったと明かしています。
両校は、その前年の明治神宮大会でも戦っていますが、そのときは駒大苫小牧が勝利。
途中から登板した田中が、威力あるストレートと、斉藤曰く「異次元の」スライダーで、早実を圧倒しました。
その対戦の経験と、そのときと比べると田中のストレートの威力が無かったことが早実に味方しました。
斉藤は言います。
「僕だけでなく、すべての高校が打倒・駒大苫小牧、そして打倒・田中将大を目指してやっていました。紛れもなく僕らの世代ではNo.1の怪物でした。」
怪物は、対峙する者たちをも強くするのかもしれません。
■松坂大輔
そしてもう一人は、「平成の怪物」と呼ばれる松坂大輔。
甲子園の舞台では、1998年の夏を沸かせた怪物です。
横浜高校のエースとして、春夏連覇をかけた決勝のマウンドにのぼった松坂大輔。
彼の投じた122球は、横浜高校を勝利に導くとともに、ノーヒットノーランという形で怪物伝説を証明しました。
この決勝戦も球史に残る試合でしたが、1998年夏の大会は、怪物・松坂に試練を与えました。
それは準々決勝、対戦相手はPL学園。松坂が「生涯で一番苦しい試合」と称した激闘は、延長17回に及びます。
追いつ追われつの展開は、延長で横浜が1点を勝ち越すとPLが取り返すというシーソーゲーム。
17回表、横浜が2点取ったところで勝負は決しました。9対7。松坂は延長17回、たった一人で250球を投げきりました。
ちなみに、このときのPL学園のエースは、現日テレアナウンサーの上重。見事な投球で松坂を苦しめました。
試合後、上重の笑顔に対して、勝利した横浜の小山捕手が号泣し、「勝って泣く顔があります。負けて笑う顔があります。」という実況は、今も名文句として語り継がれています。
なお、その翌日行なわれた準決勝では、6点のビハインドを8,9回で引っくり返す劇的な勝利。
前日の投球の疲労で先発を回避した松坂は、9回のマウンドに向かいます。
疲労の蓄積した右腕のテーピングをむしり取る姿には、誰もが胸アツになったはずです。
その後、松坂を擁する横浜は、秋の国体でも優勝し、公式戦44戦無敗。
松坂は、「平成の怪物」の名を確たるものにしました。
現在、メジャーから日本球界に復帰し、3年契約の最終年をむかえている松坂。
試練のときをむかえていますが、1998年の夏も君は乗り切った!
苦しいときだからこそ、いま一度輝く姿を見せてほしい。そんな風に思うのでした。
ありがとう、夏の怪物たち!甲子園で輝け、高校球児たち!