今村翔吾「八本目の槍」!三成はなぜ戦ったのか?七本槍だけが知る三成の本当の姿

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今日の夢中は、今村翔吾「八本目の槍」!三成はなぜ戦ったのか?七本槍だけが知る三成の本当の姿です。
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■あらすじ

秀吉の躍進を決定づけた"賤ケ岳の戦い"
このとき、特に大きな武勲を挙げた7人は「賤ケ岳の七本槍」と称されました。

加藤清正(虎之介)、糟屋武則(助右衛門)、脇坂安治(甚内)、片桐且元(助作)、加藤嘉明(孫六)、平野長泰(権平)、福島正則(市松)

彼らは、若いときから共に秀吉を支え盛り立てた、秀吉麾下きっての駿馬たちでした。
そんな彼らもやがて、秀吉が老いて死を迎えるにつれ、反目しその絆に亀裂が入るようになります。

迷いながらも別々の道に進む七本槍…。しかし、彼らには共通して思いを馳せる"八本目の槍"がいました。
その男の名は、石田三成(佐吉)。いずれの者の岐路にも必ず、三成の存在がありました。

そして迎える関ヶ原…。その男・石田三成は、時代に抗うように戦いに挑み、そして散っていきました…。
三成はなぜ戦い、何を残そうとしたのか。「賎ケ岳の七本槍」だけが知る石田三成の本当の姿とは?

■八本目の槍

賤ケ岳の戦いで活躍した秀吉の小姓組「賤ケ岳の七本槍」実は八本目もいた…。
本作は、加藤清正、福島政則ら七本槍の視点から、"八本目の槍"石田三成という人物を解き明かしていきます。


八本目の槍(文庫)

物語の構成は、"賤ケ岳の七本槍"と称された7人の武将それぞれを主役にした7章からなるオムニバス形式
7人それぞれの生涯を追いながら、全ての章に登場する石田三成の人物像に迫っていく、戦国ミステリーともいえる連作短編集になっています。

7編に登場する武将と描かれるストーリーは次のとおり。

一本槍 虎之介は何を見る

主人公は、虎之介こと加藤清正。彼は、肥後半国の大名に出世しましたが、畿内から遠ざけられたことに不満を抱いています。
そして、それを影で糸引いたのは三成だと疑います。朝鮮出兵を前に久しぶりに対面する2人。そこで明かされた真実とは…。
さらに朝鮮での戦いの最中、清正はこの出兵に秘められた三成の深謀遠慮を知ります。そして迎える関ヶ原。虎之介が下した決断とは?

二本槍 腰抜け助右衛門

主人公は、助右衛門こと糟屋武則。彼は、賤ケ岳の戦いで敵方の猛将を討ち取る手柄を立てましたが、その後は武功もなく出世からも遠ざかっていました。
彼にはトラウマがありました。かつて戦の最中、敵味方に別れた実兄を自らの手で殺めてしまっていたのです。以来、戦場で脱兎のごとく逃げ出す醜態に周囲は眉をひそめました。
ただ、三成だけは違いました…。「このような世で平気でいられる方がおかしいのだ。お主の方が余程まともよ」。そして迎える関ヶ原。助右衛門の選択は?

三本槍 惚れてこそ甚内

主人公は、甚内こと脇坂安治。彼は、かつて浅井長政に仕え、その妻・お市の姿を目にしてから、生涯の目標をお市のような人を娶ることとしました。
やがて彼は理想の女性・八重と出会います。彼は八重のために一層役目に励みます。しかし、あるとき八重の驚くべき素性が明らかになります…。
そして迎える関ヶ原。「すまぬ。佐吉」…甚内は三成を裏切って、東軍に寝返ったのです。なぜ甚内は裏切ったのか?そして三成が八重に語ったこととは…。

四本槍 助作は夢を見ぬ

主人公は、助作こと片桐且元。彼は、七本槍に数えられているものの、武芸の才も出世欲もなし…。ただ生来の真面目さを持っていました。
どんな役割も地道に取り組む且元に、三成は豊臣家の将来を託します。「豊家の天下は終われども、豊家は残る。その道をお主に託したい」。
且元は持ち前の実直さで、家康が開戦をけしかけるなか、必死に豊家が生き残る道を探ります。そしてついにその道を拓くのですが、しかし…。


八本目の槍(単行本)

五本槍 蟻の中の孫六

主人公は、孫六こと加藤嘉明。幼い頃に父親が徳川家を離反、流浪の生活を送っていましたが、あるとき父から衝撃の事実を告げられます。
「我らは今も徳川家の家臣である」。つまり徳川家の間諜として他家に埋伏し、命じられればその手先となって動く…。彼は葛藤しながらも"蟻の中の別の虫"として暗躍します。
そして迎える関ヶ原。彼は三成から自身の内通を知っていることを明かされます。しかし、三成はそれを咎めるどころか、嘉明にある願いを託すのでした…。

六本槍 権平は笑っているか

主人公は、権平こと平野長泰。彼は、地元の期待の星として秀吉の小姓組に入りますが、他の小姓たちの才に圧倒され、いつしか愛想笑いが身につきました。
そんな彼に「笑うな」と一喝した人物がいます。石田三成でした。三成は権平に「逃げるな」と言います。大名になる夢を叶えろと…。そして、家康との決戦に踏み切る理由を語ったのです…。
そして迎える関ヶ原。彼は戦後、実に12年にわたって徹底的にその一戦を調査。そしてその結果をある人物に突きつけます。その人物とは徳川家康…。

七本槍 槍を探す市松

関ヶ原で敗れ命を落とした石田三成。しかし彼は死して、家康の天下簒奪を止める「呪詛」を仕掛けたという…。
その謎を追いかけるのが、本編の主人公、市松こと福島正則です。正則は七本槍の面々を訪れ、三成が残した策が何かを探っていきます。虎之介、孫六、権平、助作。それぞれと語らううちに次第に絆を取り戻していく七本槍…。そして三成の真意に気づくのです。
「佐吉、ようやく解ったぞ」。家康がどうして14年もの間豊臣家に手を下せなかったのか、何を恐れていたのか。三成の残した呪詛の正体とは…?


作者は、この作品で吉川英治新人賞を受賞した今村翔吾さん。のちに「塞王の楯」で直木賞を受賞しました。
その今村さんが、石田三成という人物像に一石を投じる作品。関ヶ原の戦いにも新たな見解を投げかけます。

物語の最後、三成の真意を知った福島正則が、淀君に対してある一言を放ちます。その一言に、思わず目頭が熱くなりました。
七本槍すべての思いがこもったその言葉に、きっと誰もが胸を揺さぶられるはず…。それはぜひ本書を手に取って体感してください。

三成はなぜ戦ったのか?三成が夢見た世とは?七本槍だけが知る三成の本当の姿とは?
今村翔吾さんの感動歴史小説「八本目の槍」。きっとあなたも新たな石田三成にめぐり合うことができます。ぜひ手に取ってご覧ください。

ありがとう、「八本目の槍」! ありがとう、今村翔吾さん!

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