標的は火消…諦めない男・源吾が走る!「羽州ぼろ鳶組 夜哭烏」

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、今村翔吾さんの時代小説「羽州ぼろ鳶組」シリーズ、2作目の「夜哭烏」(よなきがらす)を取り上げます。

■羽州ぼろ鳶組

以前、当夢中図書館で紹介した時代小説「羽州ぼろ鳶組 火喰鳥」
これがデビュー作だという今村翔吾さんのこの小説に、すっかり引き込まれてしまいました。

江戸時代の火消たちを主人公にした、一大エンターテイメント小説。
ストーリーの面白さと躍動する登場人物たちの魅力にハマったのは私だけでなかったみたい。

晴れて続編が刊行。シリーズ化されています。
今回紹介するのは、「羽州ぼろ鳶組」シリーズ2作目、「夜哭烏」(よなきがらす)です。


羽州ぼろ鳶組 夜哭烏

■あらすじ

江戸の街を業火に包んだ明和の大火から1年後
火消たちの復興の働きもあって、江戸の街は着実に活気を取り戻していました。

そんな中、再び江戸の街を不審火が襲います。
敵の標的は江戸の火消…。その手口は、身内を攫い出動を妨害する間に街を焼き払うという卑劣なものでした。

相次ぐ被害に、街も火消も憔悴していく中、ついに江戸一番の火消、加賀鳶を率いる大音勘九郎に魔手が伸びます。
家族を犠牲にしても火事を食い止めようとする勘九郎を制して、果敢に立ち上がったのは「火喰鳥」の異名をとる松永源吾率いる羽州ぼろ鳶組でした…。


(※写真はイメージです)

やがて、材木問屋が集まる深川木場に火の手が上がります。
出動を命じる火消太鼓が鳴らないなか、現場に駆け付けるのは羽州ぼろ鳶組だけ…
果たして、源吾は江戸を焼き尽くす業火を食い止めることができるのか。

■「無謀と嗤うなら嗤え」

シリーズ2作目も見どころ満載、スリル満点の一大エンターテイメントに仕上がっています。
1作目以上に、源吾とぼろ鳶組の面々が生き生きと走り回ります。

本作は、これに加えて、1作目でもその存在感を示していた、「八咫烏」(やたがらす)の異名をとる大音勘九郎が物語の鍵を握ります。
この勘九郎も男惚れするキャラクターなんだよね。火消としての使命感と家族への愛情…。ん?源吾と同じだよね…。

そうです。こんな勘九郎の思いに、源吾が動かないわけがありません。
今作も、源吾の真っすぐな男気が随所にほとばしります。これが本シリーズの最大の魅力。

「無謀と嗤うなら嗤え。前も言ったよな?俺はそこまで人が出来ちゃいねえのさ。ぼろ鳶の諦めの悪さを見せてやろうぜ」

この言葉、たまらないですよね。どんな窮地に追い込まれても諦めない男、松永源吾
今回の諦めの悪さはとびっきり。クライマックスの深川木場の場面は、誰もが「そこまでやるか!」と驚くはず…。時代小説史上、類を見ない破天荒な火消しに度肝を抜かれます。

源吾と羽州ぼろ鳶組、ほんと最高です。大音勘九郎という最高の好敵手も泣かせます…。
"火喰鳥"と"八咫烏"が共鳴する「夜哭烏」。その魂の咆哮をたっぷりと味わってみませんか。

ありがとう、夜哭烏! ありがとう、松永源吾!

【追伸】
「羽州ぼろ鳶組」シリーズの作者今村翔吾さんが、2022年1月19日に発表された第166回直木賞を受賞されました。
おめでとうございます!きっと、源吾もぼろ鳶組も喜んでいることでしょう。これからも素晴らしい作品を楽しみにしてます!!
※受賞作品は、石垣職人“穴太衆”と鉄砲職人“国友衆”の宿命の対決を描く「塞王の楯」。こちらも両者の魂が共鳴する傑作。究極のエンターテインメント戦国小説です!


塞王の楯

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