池井戸潤「陸王」!平均年齢57歳の足袋工場が世界企業に挑む!

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、ドラマ化も決定!注目の小説、池井戸潤さんの「陸王」です。

■あらすじ

舞台となるのは、埼玉県行田市にある小さな町工場「こはぜ屋」。その取り扱う商品は「足袋」(たび)。
100年の歴史を持つ老舗企業ですが、足袋の需要は年を重ねるごとに減少。業績はジリ貧です。

社長の宮沢は、日々の資金繰りに四苦八苦する日々を送っていました。
明日をも知れぬ現状に思い悩む宮沢は、あるきっかけで、新しい事業分野に飛び込むことを思い立ちます。
それは、「ランニングシューズ」。こはぜ屋の足袋製造の技術がシューズづくりに活かせると考えたのです。


陸王/池井戸潤

社内にプロジェクトチームを立ち上げて、宮沢は「こはぜ屋」製のランニングシューズ開発に着手します。
地下足袋に通じる裸足感覚のシューズ。走る、蹴る、踏む…そうした自然の動きにフィットする、足に負担の少ないシューズ。
それを宮沢は「陸王」と名づけました。

しかし、ぽっと出の零細企業が結果を出せるほど、業界は甘くはありません。資金難、素材調達難、取引先の離反など、次々に難局が押し寄せます。
そしてこはぜ屋の前に立ちはだかるのは、世界を股にかける大手シューズメーカー「アトランティス」

平均年齢57歳、従業員20名のこはぜ屋にあるのは、ものづくりにかける情熱と長年培ったチームワーク、そしてあるランナーの思い。
はたして、彼らは、この難局を乗り越えて、「陸王」を世に走らせることができるのか…

■巨大企業VS町工場

作者は、「半沢直樹」シリーズでお馴染みの池井戸潤さん
この「陸王」は、町工場が巨大企業と相対するという構図で、直木賞受賞作となった「下町ロケット」に相通じるところがあるかもしれません。


下町ロケット/池井戸潤

池井戸作品の多くに共通するのが、ビジネスという場を借りた、勧善懲悪のドラマというもの。
圧倒的な弱者(主人公)が、強力な敵役に挑み、苦しみながら戦っていきます。

この「陸王」も同じ。しかも、それが陸上競技というスポーツを舞台にしているということで、否が応にも手に汗を握ります。

しかも、汗だけでなく、涙も流れます。
ネタバレになるので、詳細は言えませんが、少なくとも3回。特に終盤は、心の奥深くから熱いものがこみ上げてくるのを感じました。

■チームでマラソンを走るようなもの

ある年配の女工が、涙声でつぶやく一言があります。

気のせいだろうかねえ。なんだか、あのシューズが生き生きとして見えるよ。○○ちゃんに履いてもらってさ、すごく喜んでいるように見えない?あれが、あたしたちの「陸王」なんだよ。
※「○○」はネタバレのため、ふゆきが加工。

宮沢が、物語の中盤で悟ったかのように言う一言があります。

ビジネスというのは、ひとりでやるもんじゃないんだな。理解してくれる協力者がいて、技術があって情熱がある。ひとつの製品を作ること自体が、チームでマラソンを走るようなものなんだ。


(写真ACより)

技術顧問・飯山が、宮沢の息子・大地に贈る至言があります。

人だよ、絶対に代わりが無いのは、人なんだ。

あるランナーが、レース終盤に搾り出す一言があります。

オレは、ひとりじゃない。力尽きて倒れようと、自分のために、そして彼らのために走る。

「仲間のために」とか「信じる人のために」って、ちょっと青臭いけど、やっぱり人を動かしますよね。

働くことだったり、行動することが、イヤイヤじゃなくて、すごく前向きになれるとしたら、それって「誰かのためになる」からじゃないかしら?
「世のため、他人(ひと)のため」ってのも、そんなに悪い言葉じゃないなと思いました。


(写真ACより)

■ピエール瀧さんに期待!?

今般、この「陸王」のドラマ化が決定しました。
ただでさえ楽しみで仕方ないのに、その配役を見て、さらに体温が高まりました。

主人公の宮沢を演じるのは、15年ぶり連ドラ主演の大御所、役所広司さん
その息子・大地に、映画・CMで大活躍中の、山崎賢人さん
さらに、寺尾聰さん、阿川佐知子さん、竹内涼真さんなど、実力派のベテラン・若手俳優が脇を固めます。

(ドラマ「陸王」予告動画)

注目は、もちろん、主人公・宮沢を演じる役所さんですが、個人的にもう一人チェックしている人が…。
それが、巨大企業アトランティスの幹部・小原を演じる、ピエール瀧さんです。

半沢直樹のTVシリーズでは、香川照之さんが存在感を示した、大事な敵役のポジションです。
ピエール瀧さんがどれほど憎憎しい演技を見せるのか、それが楽しみでしょうがありません。


合本 半沢直樹/池井戸潤

他の池井戸作品と同様、しばらくはストレスが溜まりに溜まる展開です。そしてやがて、反撃に転じる終盤がやってきます。
池井戸ファンは、我慢強いなぁと思うのですが、これが病みつきなのでしょうね。さてさて、クライマックスはどうなることやら…。

ということで、今日は、池井戸潤さんの小説「陸王」をオススメしました。ドラマもむちゃくちゃ楽しみです。

ありがとう、池井戸さん!がんばれ、陸王!

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