
こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、東野圭吾「赤い指」!家族という名の密室で起きた悲劇…加賀恭一郎が暴く哀しき真実とは?です。
「夢中図書館 読書館」は、小説や雑誌などの感想や読みどころを綴る読書ブログです。あなたもお気に入りの一冊を見つけてみませんか?

■あらすじ
閑静な住宅街。どこにでもある平凡な家族、前原家。
ある日、仕事から帰宅した前原昭夫を待っていたのは、信じがたい光景でした。自宅の庭に、見知らぬ幼い少女の遺体が横たわっていたのです。
少女を殺めたのは、この家に住む中学生の息子・直巳でした。
引きこもりで癇癪持ちの一人息子が起こした前代未聞の惨劇に、昭夫はパニックに陥ります。
事件が知られたら、この家は終わりだ…。昭夫は「家族を守る」という名目のもとに、事件の隠ぺいを決意。死体遺棄の工作へと手を染めていきます。
痴呆症を患う老母、息子を溺愛する妻。崩壊しかけた家庭の中で、昭夫が思いついたのは、あまりに非情で身勝手な身代わりの計画でした…。
この事件の解決に乗り出したのが、練馬署の刑事・加賀恭一郎です。加賀は、現場に残された「わずかな違和感」を逃しません。
加賀が静かに追い詰めていくのは、犯人だけではありませんでした。家族の奥底に澱のように溜まった「闇」を、彼は一つずつ暴いていくのです…。
■読みどころ
いやぁ、重いです…。そして、ページをめくる手が止まりません。
東野圭吾「赤い指」。加賀恭一郎シリーズの7作目で、加賀が練馬署の刑事として活躍する最後の作品です。
本作で館長ふゆきがまず震えたのは、「どこにでもある家庭」が、一瞬にして修羅場へと変貌するリアリティです。
息子を甘やかし、介護から目を背け、表面的な平穏を繕ってきた昭夫。そんなごく普通の凡人が、窮地に立たされ、決して許されない狂気へと足を踏み入れていきます。

世間体やわが身の保身、家族の絆という呪縛から、嘘を重ねていく昭夫。やがて、彼は実の母親すら利用しようとします。
特別な悪人でない凡人が犯す過ちなだけに、昭夫の選んだ選択肢の数々に戦慄…より一層の恐ろしさを感じました。
そんな、偽善に満ちた「家族の絆」を見破るのが、シリーズの主人公、練馬署の刑事・加賀恭一郎です。
加賀恭一郎の真骨頂は、単に犯人を追いつめることではなく、「なぜその犯罪が起きたのか」「遺された者がどう生きるべきか」までを見通す眼差しにあります。
加賀が執拗に昭夫を追い詰めるプロセスは、一見冷酷に見えますが、その根底には「このままでは家族が本当の意味で崩壊してしまう」という、彼なりの救済の願いが込められているように感じます。
「この家には、隠されているものがまだあります」。加賀のこの言葉が、昭夫の、そして読み手の心を抉ります。

そして、タイトル「赤い指」の意味が明かされるクライマックス…。
その正体に触れたとき、昭夫が、そして私たちが目にするのは、絶望ではなく、あまりに深い、本当の「家族の絆」でした…。
ミステリーの枠を超えた、魂をゆさぶる傑作!加賀恭一郎が家族の再生にも立ち向かう、誰もが胸を締め付けられる人間ドラマです。
今日の夢中は、東野圭吾「赤い指」!家族という名の密室で起きた悲劇…加賀恭一郎が暴く哀しき真実とは?でした。
ありがとう、赤い指! ありがとう、東野圭吾さん! ご冥福をお祈りいたします。








