
こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、東野圭吾「手紙」!加害者の弟として生きる宿命…果てなき葛藤の物語です。
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■あらすじ
高校生の弟・直貴を大学に行かせたい——。
ただそれだけの思いから、兄の剛志は空き巣に入り、衝動的に人を殺めてしまいます。
服役することになった兄から定期的に届く、心のこもった「手紙」。
しかし、その手紙が届くたび、弟である直貴の日常は静かに、けれど確実に蝕まれていくのでした。
進学、就職、音楽活動、恋愛、そして結婚…。
さやかな幸せを掴もうとするたびに立ちはだかる「強盗殺人犯の弟」という苛酷な現実。
世間の冷ややかな目と過酷な差別のなかで、直貴は兄との絆と己の人生の間で苦しみ、葛藤し続けます。
そして、直貴はある決断をくだします。最後に弟・直貴から兄・剛志へ綴った「手紙」とは…。
■見どころ
東野圭吾さんの小説「手紙」。2001年7月から2002年10月にかけて「毎日新聞」日曜版に連載され、2003年に単行本が刊行されました。
本作の何よりの凄みは、これまであまりスポットの当てられてこなかった「加害者家族」の現実を容赦なく描き切っている点にあります。

兄は、弟を大学にやる学費欲しさに盗みに入った邸宅で、誤って人を殺してしまいます。しかし、その一つの罪が、残された弟の人生をも完全に破壊してしまいます。
差別、憎しみ、偏見、理不尽な拒絶…。自分は何も悪いことをしていないのに、なぜこんな目に遭わなければならないのか…。直貴の叫びは、読者の胸を抉るように響きます。
差別する世間を「冷酷だ」と責めるのは簡単です。けれど、社会の側にも大切な家族を守るためにリスクを排除したいという、自己防衛とも言うべき正当な言い分があるのです。
「差別されるのは、犯罪を犯した兄を持ったことに対する、避けられない報いなのだ」という言葉の重さに、思わず息が詰まりました。
タイトルでもある「手紙」は、物語のなかであまりにも切なく、残酷な役割を果たします。
弟の幸せだけを祈り、刑務所から愚直に綴られ続ける兄の手紙。 しかし直貴にとって、その温かな手紙こそが「お前は犯罪者の身内だ」と突きつけ続ける呪縛そのものでした。

二人の間を行き来する手紙を通じて浮き彫りになるのは、善意と悪意が裏返る恐怖であり、唯一の肉親ゆえの愛情と憎しみの連鎖です。
物語の最後、直貴は大きな決断をくだします。弟から兄へ送った最後の「手紙」。そのなかには重く切ない思いと覚悟が綴られていました…。
東野圭吾「手紙」。ミステリー的な驚きはありませんが、「人間ドラマ」としての熱量は、東野作品の中でも随一です。ラストシーンは、涙なしで読み切ることができませんでした…。
今日の夢中は、東野圭吾「手紙」!加害者の弟として生きる宿命…果てなき葛藤の物語でした。
ありがとう、「手紙」! ありがとう、東野圭吾さん! ご冥福をお祈りいたします。









