こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、廃墟化した東京を描くクリエイター・東京幻想さんのイラスト集「東京幻想作品集」です。
■東京幻想作品集
「東京幻想作品集」。
本の帯にはこんなキャッチコピーが書かれています。
東京に何が起きたのか!?
廃墟化した東京の街を
圧巻の想像力で描き出すクリエーター・東京幻想。
ありえない未来の情景が想像を掻き立てる、
儚くも美しい世界がここに―
表紙に描かれた古代遺跡のような街は、なんと新宿です。
緑生い茂る新宿駅。甲州街道は朽ち果て、高架下のレールは川となり水が流れています。
「ありえない未来」だけど、もしも突然人類が滅亡したら、東京の街はこんな風になってしまうんだろう…。
そう考えると美しくも怖ろしい未来の作品集です。
■日経MJトレンド
この作品に出会ったのは、いつも私の知らない流行を紹介してくれる日経MJ。
「日常と非日常のはざま描く」というトレンドでした。
この記事にとり上げられていたのが、「東京幻想作品集」でした。
2020年5月に発売されたこのイラスト集は、発売から2週間で発行部数が1万5,000部をあげるヒット作品に。
このジャンルでは異例の売れ行きをあげ、まさに「トレンド」となりました。
描かれるのは、廃墟と化した東京の街。
SNSでは「まるでラピュタ」と絶賛されています。
作者の東京幻想さんが、日経MJのインタビューに答えています。
「日常は固定されたものではない」。
ビルがチョコレートでできていたら、アスファルトがガラス張りだったら…。
「毎日妄想しながら歩いてるんです」という作者の無尽蔵な発想力が、「日常」と隣り合わせにある「非日常」の世界を生み出しました。
■儚くも美しい非日常の世界
さっそく「東京幻想作品集」を手に入れてページをめくると、その世界観に圧倒されました…。
スカイツリーが横倒しにされた東京の下町…。
人の消えた商店街に植物が生い茂り、夕陽が差し込みます。
新国立競技場幻想…。
突然時が止まったかのように、巨大構造物は建築機材とともに自然に回帰しました。
水辺に動物たちが集う上野駅…。
古代遺跡のような美しい廃墟の街と化した上野駅。ひとの代わりに動物たちが街の住民に。
そして、夜の新宿駅。
夜のとばりに青く輝く新宿の街。儚くも美しい非日常の世界が、そこに映し出されます。
他にも、東京駅や渋谷ハチ公前、羽田空港、国会議事堂など、廃墟と化した東京の街が描かれます。
なんと恐ろしくて、なんと美しい世界なんだろう…。
作者の東京幻想さんは、作品集の巻末でこのように話しています。
「できれば美しくありたいし、絶望よりは希望を感じてほしいです」。
過度に都市化した東京へのアンチテーゼ。自然と共生する新しい緑と水の都。
もしかしたら、東京の未来は、こんな幻想の世界から生まれてくるのかもしれません。
ありがとう、東京幻想作品集! ありがとう、東京幻想さん!