宮城谷昌光「楽毅」 諸葛孔明が敬慕した名将、古代中国を席巻す!

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、宮城谷昌光さんの時代小説、古代中国の名将を描いた「楽毅」です。

■あらすじ

ときは、古代中国の戦国時代
小国・中山国に生まれた楽毅(がっき)は、祖国を守るために立ち上がります。

攻め寄せるのは隣国の大国・趙。
楽毅は寡兵で趙の大軍を退けるなど武功を上げますが、すでに中山国は滅亡の危機に瀕していました。


楽毅(一)

やがて楽毅は、燕の昭王と運命的な出会いを果たします。
昭王の望みは、かつて父を殺した大国・斉を討ち滅ぼすこと。
しかし、燕と斉には国力でも軍事力でも圧倒的な力の差がありました…。

そして迎える、燕と斉との一大決戦
兵力では圧倒的に劣る燕軍を率いるのは、総大将に任じられた楽毅です。

果たして戦いの行方は…?
古代中国に燦然とその名を刻む名将・楽毅の活躍を描く歴史巨編です。

■楽毅

三国志の諸葛孔明や漢王朝を築いた劉邦も敬慕したという名将
それが、この小説で描かれる「楽毅」(がっき)です。

正直、この小説を読むまでは知りませんでした…。
ただ、この楽毅という人物は、中国戦国期の帰趨を握った名将でした。


楽毅(二)

特にその名を轟かせたのは、紀元前284年の「済西の戦い」(さいせいのたたかい)です。
弱小国の燕が超大国の斉を打ち破った、古代中国の桶狭間のような戦いです。

実際に、当時の斉は、西の大国・秦と並び、東で版図を拡げ「帝」を名乗るほどの大国でした。
燕は事実上、斉の支配下にあったと言えます。

傍若無人な斉の湣王に対し、着々と復讐の牙を研いでいたのが燕の昭王。
そして、それを実現したのが、昭王に三顧の礼で迎えられた名将・楽毅の知略と兵略でした。


楽毅(三)

■隗より始めよ

この中国古代史に残る大逆転を成し遂げた楽毅もすごいですが、その楽毅を召し抱えた燕の昭王もすごい人物です。
この昭王、「隗より始めよ」(かいよりはじめよ)の故事で知られる名君なんです。

「隗より始めよ」は、大事業をなすにはまず身近なところから着手せよという意味の故事ですね。
語源となった郭隗(かくかい)を登用したのが、燕の昭王です。

昭王は、斉への復讐を誓い、天下からひろく人材を募りました
そんな昭王が、故国を失った楽毅と運命の出会いをしたのは、ある意味必然だったのかもしれません。


楽毅(四)

その楽毅は、武人としてだけでなく、政にも長けた人物として描かれます。
楽毅の才能は、物語の前半にある人物と出会うことで大きく開花していきます。
その人物が孟嘗君です。戦国四君にも挙げられる信義の人。この孟嘗君の薫陶を受けて、楽毅は人格を大きく成長させました。

この辺りは、宮城谷昌光さんの小説「孟嘗君」と合わせて読むと面白さが広がります。
さらに小説後半では、は秦の魏冄(ぎぜん)や白起も登場。これは小説「奇貨居くべし」にもつながりますね。
宮城谷ワールド、すごいな…。まったく知らなかった古代中国の世界へ読者を誘ってくれます。

この宮城谷ワールドは、古代中国をくわしく知らなくても、三国志ファンやキングダムファンならきっとハマるでしょう。
楽毅の活躍は歴史を動かし、やがて秦始皇帝の時代、さらには諸葛孔明の三国時代、劉邦の漢の時代へとつながっていくのです。

ありがとう、楽毅! ありがとう、宮城谷昌光さん!

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