こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、漫画「君たちはどう生きるか」です。
■君たちはどう生きるか
原作は、1937年に出版された名著「君たちはどう生きるか」。
作者は、吉野源三郎さんです。
そのタイトル通り、人間としてどう生きればいいかを問いかける歴史的名著です。
この名著が、出版から80年の時を経て、はじめて漫画化。200万部を超えるベストセラーとなりました。
しかも、ジブリの宮崎駿氏が同名のタイトルのアニメ映画を作成しているとのこと。
原作そのものではないものの、この本からインスパイアされたストーリーになるようです。
今日は、そんな漫画「君たちはどう生きるか」を取り上げます。
■あらすじ
舞台は1937年の東京。
主人公は中学生「コペル君」とその叔父さんです。
物語は、コペル君が「僕なんて死んだほうがマシなんだ」と思い悩むシーンから始まります。
彼は、大事な友達との約束を破ってしまった罪悪感から体調を崩し、学校を休んでいたのでした。
そんなときに、コペル君は母親から一冊のノートを渡されます。
それは、彼の良き相談相手の叔父さんが書いたものでした。
そのノートには、これまでコペル君が叔父さんに語ってきた「気づき」や悩みが綴られていました。
あわせて、それに対する、叔父さんのメッセージも書き添えられていました。
それは、ものの見方や人間同士のつながり、貧しさの問題など、コペル君が思い悩み考え始めたこと。
コペル君が立派な大人になれるように、叔父さんがやさしく導いてくれる内容でした。
叔父さんのノートを通じて、コペル君は決心します。
裏切ってしまった友人に対してどうするべきか。自分は何をすべきか。
「君たちは、どう生きるか。」
■それはね、コペル君
もともとは児童書ということもあり、道徳の教科書にしていいような内容です。
エピソードごとに成長していくコペル君の姿に自分を重ね合わせたりします。
彼の成長を導いていくのが、近所に引っ越してきた叔父さんです。
実はこの叔父さん、病床のコペル君の父親から、ある願いを託されます。
それは、コペル君をを立派な人間にしてほしいという、人生最後の願いでした。
そんな叔父さん自身も、コペル君に触発されて少しずつ変わっていきます。
この辺は漫画版のオリジナルな味付けみたいですね。
児童だけでなく、広い世代に読まれるために、大人も成長していくストーリーを入れたかったのだとか。
あるインタビューで、漫画版著者は、コペル君と叔父さんの関係を、バック・トゥ・ザ・フューチャーのマーティとドクの関係にしたかったと言っていました。
師弟のような関係ではなく、パートナーのようにしたかったんでしょうね。
その狙いは見事に当たりました。原作でも鍵となる、叔父さんからコペル君に宛てたノートの言葉一つ一つが、さらに身近なものに感じられます。
だって、上から目線の訓示みたいねメッセージって、聞きたくないでしょ(苦笑)。
対等なパートナーである叔父さんだから、一つ一つの言葉が、耳と心に染み入ってくる。そんな風に思います。
たとえば、冒頭の、友達を裏切ってしまったことから思い悩むコペル君への、叔父さんからのメッセージはこんな感じ。
コペル君、
今君は大きな苦しみを感じている。
なぜそれほど苦しまなければならないのか。
それはね、コペル君。
君が正しい道に向かおうとしているからなんだ。
「死んでしまいたい」と思うほど自分を責めるのは、君が正しい生き方を強く求めているからだ。
(以下略)
過ちは誰だって苦しい。でもそれを乗り越えれば、新たな自信が生まれてくる。
逃げちゃいけない…。叔父さんからの励ましメッセージ。
そして、そのメッセージを受けとったコペル君は、どのような行動をするのか。
最後に原作者の吉野源三郎さんが読者に問いかけます。
君たちは、どう生きるか。
すごく考えさせられる本でした。夏休みの読書感想文にもおススメです。
ありがとう、吉野さん! ありがとう、漫画「君たちはどう生きるか」!