米澤穂信「黒牢城」!囚われの軍師官兵衛と孤高の城主村重が戦国の謎を解き明かす

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館長のふゆきです。

今日の夢中は、米澤穂信「黒牢城」!囚われの軍師官兵衛と孤高の城主村重が戦国の謎を解き明かす…です。
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■あらすじ

物語の舞台は、織田信長に反旗を翻した荒木村重が立て籠もる有岡城
織田軍に包囲される城内で、村重の頭を悩ます不可解な事件が次々と起こります。

城内の密室殺人、すげ替えられた首、暗殺された使者と従者…。誰がなぜ?
疑心暗鬼がうごめくなか、孤高の城主・村重は、有岡城の土牢に幽閉されている人物のもとに向かいます。

土牢の囚人…織田方の軍師・黒田官兵衛。降伏の使者として城を訪れるも、村重に捕らわれました。
村重は、敵方ながらも官兵衛の卓越した知謀に期待し、城内で起きる事件の真相解明を依頼します。

一方の官兵衛も、囚われの身でありながらも、持ち前の知略を駆使して謎の解明に挑みます。
裏切りと陰謀うごめく黒牢城。果して、事件の真犯人は?有岡城の行方は?村重そして官兵衛の運命はいかに…。

■読みどころ

米澤穂信「黒牢城」。第166回直木賞を受賞した傑作小説です。
ジャンルとしては、時代小説にしてミステリー小説。「この時代小説がすごい!」と「このミステリがすごい!」の双方に名を連ねる興味深い作品です。

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読みどころの一つは、その興味深い点とも関連するのですが、史実をもとにストーリーが構成されていること。
物語の舞台は、本能寺の変の4年前に起きた有岡城の籠城戦。主人公の一人、荒木村重は実在の武将、実際に織田信長に対して反旗を翻しました。

もう一人の主人公、黒田官兵衛も秀吉の軍師として知られる実在の人物。村重に捕らわれたというのも史実です。
この2人の目を通して、約1年にわたって続いた籠城戦の経緯が明かされていきます。歴史小説としても十分に読み応えあり、事件の背景や登場人物の心理は敗れゆく者の物語として哀れすら感じます。

もう一つの読みどころは、そうした史実をベースとしながらも、ミステリー作家の面目躍如、米澤穂信流の謎解き要素が存分に散りばめられているところです。
戦国の城の密室殺人とか、すげ替えられた首とか、それだけでも極上のミステリー作品になるほど。巧妙なトリックに唸らされます。

(有岡城跡/写真ACより)

何よりも、その謎解きに挑むのが、囚われの軍師官兵衛とその官兵衛を捕らえた城主村重というのも面白い。
まるで、囚人と看守のホームズ・ワトスン関係。この2人が、ときに敵対しときに協力しながら事件を解決していくというのは、極上のエンターテインメントでしかあり得ません。

そして迎えるクライマックス。囚われのホームズと苦悩するワトスン、官兵衛と村重の2人の対話シーンは、時代小説史にもミステリー小説史にも残る名場面。
意外な真犯人と最後に張り巡らされた罠…。陰謀うごめく有岡城の土牢で、手に汗握る攻防戦が繰り広げられます。

そして最後の最後に、ちょっとしたどんでん返しが用意されているのも、この作品が多くのひとに評価される所以でしょう。
まさかの出来事が待っていますが、それも史実なんですよねぇ…。どんな出来事なのかは、ぜひ本誌を手にとってお読みください

今日の夢中は、米澤穂信「黒牢城」!囚われの軍師官兵衛と孤高の城主村重が戦国の謎を解き明かす…でした。
ありがとう、「黒牢城」! ありがとう、米澤穂信さん!

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