こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、宮城谷昌光さんの中国を舞台にした壮大な歴史小説「孟嘗君」です。
■宮城谷昌光
宮城谷昌光(みやぎたにまさみつ)。
古代中国を舞台にした小説を得意とする、時代小説家です。
代表作に「重耳」や「晏子」などがあります。
館長ふゆきの大好きな作家のひとり。今までなぜ紹介してなかったんだろう…。
今回紹介するのは、宮城谷作品を好きになるきっかけとなった作品。
それがこちら。「孟嘗君」(もうしょうくん)です。
■あらすじ
ときは紀元前、中国の戦国時代。
斉の宰相・田嬰(でんえい)の子、田文こと孟嘗君が物語の主人公です。
田文は産まれてすぐに、不吉な子として父に殺されかけますが、母に密かに逃がされます。
その田文を育てることになるのが、奇妙な縁で赤子を助けた義侠の人・風洪。
田文は、養父・風洪とその仲間、さらには兵法の天才・孫臏など、様々な人物の薫陶を受けながら成長していきます。
そして迎える父・田嬰との対面。さらに時代は戦国乱世、田文は否応なく歴史の荒波にさらされることになります。
果たして、田文は権謀渦巻く乱世を生き抜くことができるのか。
戦国4君に挙げられる名宰相・孟嘗君の活躍を描く歴史ロマン。ひとを愛しひとに愛された英傑の壮大な物語です。
■仁義の人
孟嘗君。この小説を読むまで知りませんでした。
実際に出自など不明なところも多く、宮城谷さんも自ら年表をつくって作品を仕上げたそうです。
ただ、誰もがこの孟嘗君・田文の生き方に感銘を受けるはず。何よりも人物の器が大きい。
師・孫臏から「天下万民のための宰相たれ」と遺言を託されるほど。
ちなみに、この孫臏は、孫武と並び「孫氏」と称される兵法の天才。彼の活躍も中盤の見どころになっています。
田文の人格形成に大きく影響を与えたのが、養父・風洪です。
彼も実在の人物で、後に周の大商人となる白圭。物語の前半は、この風洪を軸に展開します。
ひとことで言うと「仁義の人」。正義感にあふれ、義理人情にあつい。友のためなら命もいとわない。
後に、田文は、食客数千人を集めるほど人望を集めますが、それはこの風洪の生きざまを受け継いだからでしょう。
物語後半、秦の宰相にと請われて当地を訪れますが、そこで生涯最大の危機を迎えます。この窮地を救ったのも、彼の人望でした…。
スリル満点、見どころ満載。めまぐるしく展開していく壮大なストーリー。
文庫本では全5巻と大作ですが、一度読みはじめたらあっという間、頁をめくる手が止まらなくなるはず。
人気漫画「キングダム」の約70年前に、中国を動かす英雄がいました。
「孟嘗君」、おススメです。
ありがとう、孟嘗君! ありがとう、宮城谷さん!