女子高版「坊ちゃん」+万城目版青春ファンタジー ”鹿男あをによし”

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こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、万城目学さんのファンタジー小説「鹿男あをによし」です。

■鹿男あをによし

先日、当「夢中図書館」の別館「街あるき館」で進めている企画で、奈良県のご当地ショップに行ったときのこと。
ふいに、奈良を舞台にした、この小説のことを思い出しました。

それが、万城目学さんの代表作「鹿男あをによし」です。


鹿男あをによし

「あをによし」は奈良にかかる枕詞。万葉集の和歌等でつかわれています。
「鹿」は、言わずと知れた奈良県民の生活の一部(?)。奈良のシンボルにして、神の使いとして神格化された存在でもあります。

この「鹿男あをによし」では、まさに、鹿が神の使いとしてあらわれます。
えっ?どういうことかって?そこは万城目ワールド。ページをめくると、不思議な世界が目の前にひろがります。

■あらすじ

「さあ、神無月だ。出番だよ、先生」
渋みのある中年男の声で話しかけてきたのは、1頭の雌鹿でした。

話しかけられたのは、物語の主人公「おれ」
同僚とのトラブルから大学の研究室を追われ、失意のまま奈良の女子高で教鞭をとっていました。

わけの分からぬまま、鹿の使い番としてふり回される「おれ」。
しかし、彼が負った使命は、60年に1度行なわれる「鎮めの儀式」にかかわるもの。それは、日本の存亡にかかわる重要な役割でした。

そして、「おれ」の行く手が何者かによって阻まれたとき、東では富士山が噴火の兆候を見せ始めます。

次第に明らかになる儀式の全貌…そして1800年前から続く因縁
儀式を阻もうとする謎の人物は誰なのか。「おれ」は使命を全うすることができるのか…。

■万城目ワールド

これぞ万城目ワールド。古都奈良を舞台に繰り広げられる、壮大にして幻想的な救国ストーリーです。

何気ない日常のすぐ側にある不思議な世界…。これは、万城目さんのデビュー作「鴨川ホルモー」や「偉大なる、しゅららぼん」にも通じる、独特の世界観です。


鴨川ホルモー

「鹿男あをによし」も学園が舞台となっていて、青春ドラマの側面もあります。
着任早々、生徒から黒板にいたずら書きされるシーンは、女子高版「坊ちゃん」

そもそもコミュ障の気のある「おれ」は、特に反発する堀田を抑えようとしますが、ことごとく撃沈。
その反目する教え子堀田を巻き込んだ剣道大会で、物語は一つのクライマックスを迎えます。
「あきらめるな、堀田!」。思わず口に出たその一言が、「おれ」が本当の先生になれた瞬間だったのではないでしょうか。

物語を通じて、「おれ」が、少しずつ人間として成長していくのも一つの見どころです。
そして堀田の反目する理由が明らかになったとき、物語は「坊ちゃん」から万城目版青春ファンタジーの世界へと進化していきます。

■テレビドラマ化

テレビドラマ化されたので、そちらでこの作品を知っている人も多いのではないでしょうか。


鹿男あをによしDVD-BOX

ドラマで主人公「おれ」を演じたのは玉木宏さん
小説では名前が明かされませんでしたが、ドラマでは「小川孝信」という名前になっていました。朴訥とした感じがハマっていましたね。

その教え子にして物語の鍵を握る「堀田イト」を演じたのは多部美華子さん
勝気な女生徒を見事に演じましたね。剣道の防具服姿は永久保存版の可愛らしさでした。

「おれ」の同僚教師「藤原」を演じたのは綾瀬はるかさん
ドラマでは玉木宏さん演じる「小川」とのラブロマンスの行方も一つの見どころになっていましたね。
ただ、小説版では「藤原君」という男性教師。もちろんラブロマンスもありません(苦笑)。

綾瀬はるかさんは、万城目作品では「プリンセス・トヨトミ」にも出演。
天然で不思議な魅力は、万城目ワールドにぴったり!?


プリンセス・トヨトミ

でも、「鹿男あをによし」は、女性の藤原先生が登場しない、小説版のほうが好きです。
物語のクライマックスで堀田がほどこす「おまじない」は、「おれ」と「堀田」の、純粋な2人きりの見えない絆であってほしいと思います。このシーンは、小説を読みながら、ちょっと泣きました…。

神の使いの鹿に会いに、古都奈良に旅にでかけたい。…多部美華子ちゃんみたいなかわいい子とも出会えるといいなぁ。

ありがとう、万城目学さん!ありがとう、鹿男あをによし!

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