浅田次郎「一路」 参勤交代は戦なり!笑いと涙の参勤行列ロードノベル

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、浅田次郎著「一路」です。

■あらすじ

父の不慮の死により急遽、家督を相続することとなった小野寺一路
19歳にして初めて故郷に戻ると、小野寺家代々の御役目・参勤道中の御供頭を仰せつかります。

道中に不手際があればただちに御家断絶と追い詰められる一路。
唯一の頼りは、200年以上前に記された家伝の「行軍録」

「参勤交代之御行列ハ行軍也」(参勤交代は戦なり)
一路は家伝に従って、古式ゆかしい行列を仕立てて、参勤道中の旅に出発しますが…。

その前途に立ちはだかるのは、真冬の中山道の難所。断崖絶壁の与川越え、御本陣差し合い、御殿様の発熱…。
さらに行列の内部では、御家乗っ取りの企みがうごめいていました。

果たして一路は、無事に江戸入りを果たすことができるのか。

■浅田次郎

「一路」
なんとも爽快な時代小説に出会いました。


一路(上)

笑いあり、涙あり。スリルも、謎解きも、恋もあります。
気づけば、すっかり一路に夢中。誰もが一所懸命な一路のことを応援するはず。
蒔坂(まいさか)家の参勤行列に連なっているかのように、のめり込んでしまいました。

作者は、「鉄道員」「壬生義士伝」など数多くの傑作を手掛けてきた、浅田次郎さん
ときは、徳川将軍家の権威が揺らぐ幕末。テーマは、その権威の象徴ともえいる参勤交代…。
この辺りの設定は、さすが自称「歴史オタク」の浅田さん。実在の人物も登場させながら、難しい時代に生きる武士たちの姿をあざやかに描き出します。

ストーリー展開もあざやか。
参勤行列の歩みに合わせてエピソードが連なるロードムービーのよう…。
これ、連続ドラマに向いてるなと思ったら、NHKBSでテレビドラマ化されていました。見逃した…。

■見どころ

見どころは数々あれど、やっぱり一番の魅力は、主人公・一路の頑張りでしょう。
その名前の通り、真っすぐで一途。ひたむきに、はじめての参勤行列の道中を取り仕切ります。

見方によっては不器用。ただ、その一所懸命に生きる様は、次第に共感を呼んでいきます。
物語の中盤、夢の中で亡き父が一路に語りかける場面があります。

正義とは星ぞ。いかに夜空の闇が広うても、正義が孤独であろうはずはない。
義のあるところ、必ず星ぼしは群れ集うて輝く。

名言ですね。正しく生きることの大切さ、義の大切さ。一路ならずとも、胸に留めておきたい言葉です。

その言葉通り、きら星のように一路を援ける仲間たちも素晴らしい。
父の親友・国分七左衛門、その娘の薫、武骨な佐久間勘十郎、禅寺の住職に髪結い、易者、さらには馬まで!?
ときにユーモラスに、ときに力強く一路を支える姿は、数々の名シーンを生んでいます。


一路(下)

そしてもう一人、物語の中で目を離せないのが、御殿様・蒔坂左京大夫
「うつけ者」と評される御殿様ですが、道中でさまざまな苦難を乗り越えるうちに、次第に真実の姿が見えてきます。
物語のもう一人の主人公と言ってもいいでしょう。一路とは立場は違えど、その一所懸命な生き様には大きく胸を揺さぶられました。

そんな御殿様も、陰謀に巻き込まれて命は風前の灯火…。
一路は御殿様を守ることができるのか? そして蒔坂家参勤行列一行は、期限までに江戸に入ることができるのか?

見どころいっぱいの参勤行列ロードノベル「一路」。浅田節満載の快作でした。
ありがとう、一路! ありがとう、浅田次郎さん!

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