徳川家康(1)出生乱離の巻!どうなる家康?弱小松平家に生まれた希望の星

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こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

2023年大河ドラマ「どうする家康」で注目を集める武将・徳川家康
誰もが知ってる、戦国乱世に終止符を打ち泰平の世を拓いた江戸幕府の初代将軍です。

しかし、その生涯を詳しく知っている人は多くないのではないでしょうか。館長ふゆきもその一人…。
ということで、大河ドラマで盛り上がる今、あらためて徳川家康がどんな人物でどんな生き方をしたのかを探っていきましょう。

手にとったのは、山岡荘八さんの名著「徳川家康」です。なんと全26巻あります…。
どうする館長ふゆき?千里の道も一歩から、ここで怯んではいけない…。いざ読み進めましょう!今日は、その第1巻です。

今日の夢中は、徳川家康(1)出生乱離の巻!どうなる家康?弱小松平家に生まれた希望の星です。
「夢中図書館 読書館」は、小説や雑誌などの感想や読みどころを綴る読書ブログです。あなたもお気に入りの一冊を見つけてみませんか?

■あらすじ

竹千代(家康)が生まれた年、信玄は22歳、謙信は13歳、信長は9歳であった。
動乱期の英傑が天下制覇の夢を抱くさなかの誕生。それは弱小松平党にとっては希望の星であった-

三河岡崎城の若き城主・松平広忠のもとに、隣国の刈谷を領する水野忠政の娘・於大が嫁いできます。
しかし広忠にとって、刈谷は去年いっぱい戦い続けた因縁の相手…。松平家の安泰のためとはいえ、許せるものではありませんでした。

広忠は於大を遠ざけます。側室のお久のもとには通うも、於大と夜を伴にすることはありません。
それどころか、刈谷に対する憎しみのあまり、於大を亡き者にしようとまでするのでした…。

しかし於大は、そんな広忠を恨むどころか、自らの至らなさゆえとじっと堪え、純粋に心広やかに広忠を待ち続けます
やがて、その於大のやさしさは荒んだ広忠の心を癒し、2人は互いにかけがいのない存在として結ばれるのでした。

そして2人の間に、待望の男児が誕生します。その子の名前は「竹千代」。後の徳川家康でした。
しかし、竹千代の誕生に沸く岡崎に安寧のときは続きません。岡崎は、東の今川家と西の織田家に挟まれ、常に両者の争いに巻き込まれる小国でした。

やがて於大の実家・水野家が織田家に与すると、今川方の松平家は今川家の圧力から於大を離別せざるをえなくなります。
そして於大に訪れる広忠との別れ、そしてわが子・竹千代との別れ…。果たして、織田との対決を選んだ岡崎の命運はいかに…?

■春の陽

山岡荘八さんの名著「徳川家康」全26巻
ギネスブックに最長の小説として認定されていたこともある時代小説の大作。今日は、その第1巻「出生乱離の巻」を読みました。


徳川家康(1)出生乱離の巻

この第1巻で描かれる時代(年表)は、凡そ次の通り。

天文10年(1541年) 松平広忠と於大が結婚
天文11年(1542年) 竹千代(後の徳川家康)誕生
天文13年(1544年) 松平広忠、於大と離縁

さすがは大作小説。この第1巻では、主人公の家康は生まれたばかりで、ほとんど登場しません。
その代わりにメインに描かれるのは、家康の両親父親の松平広忠と母親の於大の方です。

この両親の生き様が、後の家康の人格形成に影響したことは間違いありません。
2人とも数奇な運命を辿ることになりますが、特にその出会いはなかなかに強烈…。

戦国の世とはいえ、妻を殺そうとする夫との結婚を余儀なくされるとは…。
しかも、このとき於大は14歳ですよ。あまりに酷な仕打ちですよね…。まあ、広忠も16歳ですが。

この2人が結ばれていく序盤のシーンは、物語最初の名シーンです。
過去の憎しみに捉われて辛く当たる広忠を、於大はあくまで心広くやさしく受け容れます。

春の陽が冷たい氷を溶かすように、広忠の心は雪解けしていきました。「許せよ。予がわるかった」。
素直になるって大切ですよね…。2人は仲睦まじい夫婦になるのです。

■悲しい別離

第1巻のもう一つの名シーンは、於大の岡崎出立の場面です。
広忠は、今川家からの圧力によって、織田方についた水野家から嫁いで来た於大を離別せざるをえなくなります。

こちらも戦国の世とはいえ、当人同士の思いをよそに離別させられ、しかも敵方になるというのはなんとも切ない…。
於大は、出立を前に「竹千代に会わせてくださりませ」と訴えますが、今川方の眼がある以上、許されるものではありませんでした。

岡崎出立の日、於大は竹千代の居所に真っ白な掌を合わせてから屋敷を出ます。
於大を敬愛する重臣が言います。「竹千代さまは引き受けました!岡崎のおとな(老臣)どもが、生命をつくしてきっと海道一の武将に育て上げまする」。

小説とはいえ、大切なシーンです。この言葉通り、三河岡崎の家臣たちがこののち苦難の人生を歩む竹千代(徳川家康)を支えていくことになるのです…。
さらに、小説とはいえ胸に詰まるシーンが続きます。於大を慕って見送りに来た民衆のなかに、ある女性の姿がありました。その腕の中には幼い赤児が…。


(於大の方 椎の木屋敷/写真ACより)

号泣です…。他にも第1巻では、於大の父・水野忠政や母・華陽院が登場したり、物語の鍵を握る謎の人物・竹之内波太郎が現れたり、見どころいっぱい。
少年時代の織田信長(幼名:吉法師)も登場します。この辺りは、さすがは山岡荘八さん。章ごとに場面もひとも切り替わるので、息つく暇がありません。

これは、次の展開も楽しみ…。というか、徳川家康という超有名人にもかかわらず、ここまでハラハラドキドキするとは思っていませんでした。
それだけ、特に若き家康の置かれた境遇は、あまりに脆弱にして不安定。「どうする家康?」というより「どうなる家康?」…。

さて、弱小の松平家の希望の星として生まれた竹千代。その運命はいかに?そして松平家はどうなるのか…。
どうする家康?どうなる家康?続きはまた、このブログ「夢中図書館」で綴りたいと思います。

ありがとう、徳川家康! ありがとう、山岡荘八さん!

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