徳川家康(12)華厳の巻!家康決意の上洛へ…そのとき家臣は?秀吉は?そして茶々は?

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今日の夢中は、徳川家康(12)華厳の巻!家康決意の上洛へ…そのとき家臣は?秀吉は?そして茶々は?です。
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■あらすじ

関白秀吉は、妹・朝日を家康に嫁がせると、母の大政所までも人質に送ることを決めます。
秀吉が求めるのは、家康が上洛して大坂城で謁見、諸大名の前で豊臣氏に臣従すること…。

そこまでされては、家康も拒み通すことはできませんでした。
ついに家康は上洛を果たすと、大坂城で秀吉と謁見。諸大名の前で臣従を誓いました。

これを機に、秀吉の天下平定の歩みが一気に加速します。
九州に兵を向けると、覇を唱えていた島津義久を破ってこれを降伏させ、九州全土を平定

しかし、未だ秀吉に臣従しない東国、さらには海の外へと、戦乱の火種は残ります。
さらに内では、熾烈な女の戦いも…。果たして、戦国乱世の行方は?家康の望む天下泰平は訪れるのか…。

■家康上洛へ

時代小説史に残る名著、山岡荘八「徳川家康」全26巻
第12巻「華厳の巻」では、家康の決意の上洛から秀吉の九州討伐までが描かれます。


徳川家康(12)華厳の巻

この辺りから、家康をはじめとする登場人物の心のうちが細かに記されるようになります。
一つ一つのエピソードが詳しく多面的に記されるため、一巻で描かれる時代はこれまでに比べて短くなりました。

その分、濃密に描かれる人間模様は、時代小説の面目躍如、目の前にその場面が浮かぶほど真に迫ります。
筆者の山岡荘八さんの、この物語にかける強い思いが投影されているものと思います。

たとえば、家康が上洛する決意を家臣らに告げる場面。三河武士たちは反秀吉で凝り固まっています。
家康が上洛の意向を家臣たちに明かすと、家臣団を代表するように酒井忠次が「わからぬ!」といきり立って反対します。

三河武士団にとって、どれもこれも秀吉の罠に見えました。そこまでしても家康の首を取りたいのだと…。
忠次は家康に警鐘を発します。「殿!いのちは一つでございまするぞ」

それに対して、家康は「その通り」と笑って答えます。そして、こう繋げたのでした。
「天下のために尽くす命…それ一つじゃ」。重く胸に刺さる一言ですよね…。一連のやり取りに、忠次ら家臣たちの心情の動きまで見えてくるようです。

■秀吉、そして茶々

まだまだ、細やかに描かれるエピソードが盛りだくさんです。なかでも山場となるのが関白秀吉との面会前夜…。
家康が秀長(秀吉の弟)と会談していると、廊下にあわただしい足音が…。座敷に駆け込んできたのは、なんと関白秀吉そのひとでした。

「徳川どの、よう来られた!」。朗らかに語りかける秀吉。一方、家康は不意打ちにあったかのように硬直します。
そんな家康に手ずから酌をしながら秀吉は言います。「誰も知らぬ…。おこととわしの肚などはのう」。そうして、天下の平定のためには徳川も関白もないと、磊落に笑うのでした。

これら一連の秀吉の言動に、家康はついに心のわだかまりを解きました。そして家康も、秀吉の不意をつくように言葉を放ちます。
「殿下がいまお召しの錦の陣羽織、それをこの場で家康に頂戴したい」。訝しむ秀吉に対して家康は、2人が手を結ぶ以上、もう二度と秀吉に陣羽織を着させないと宣言したのです。

秀吉も家康も人間が大きいですね…。秀吉は涙を落とすほど喜びます。そして家康は秀吉を支えていくことを決意したのでした。
この巻では他にも、後の世をゆるがす石田三成、利休、細川ガラシャといった多くの重要人物が登場します


(浅井三姉妹(長女が茶々)/写真ACより)

その中でも特に異彩を放っているのが、茶々です。織田信長の妹・お市の方と浅井長政の間に生まれた三姉妹の長女。
自尊心が高く自由奔放な少女はやがて成長し、自身を庇護する秀吉から側室になるように声がかかります。

はじめは反発する茶々ですが、使者として来た織田有楽に思い立ったように言い放ちます。
「参りましょう。殿下のお側へ。復讐に」。この台詞を読んで、思わず戦慄が走りました…。

茶々は、実父の浅野長政も、義父の柴田勝家も、秀吉によって討たれています。さらに叔父にあたる織田信長も家臣の明智光秀に討たれました。
筆者は、そんな数奇な運命を辿った茶々について、「弱肉強食の現実が、彼女の育ちに大きな斑(まだら)をおとしている」と記しています。さらに「弱いということは、あらゆる面で醜を伴う悪に見えた」とも。

見事な表現ですね…さすがは名匠。そして、心に「大きな斑」を抱く茶々は、後に新たな戦乱の火種を生むことになるのです…。
そんな火種を残しながらも、戦国乱世は群雄割拠から秀吉の天下へ、一気に進んでいきます。それは、この巻で描かれた家康上洛の決断が大きく影響したのです。

果たして、秀吉の手によって、戦国の世は終息するのか…。続きはまた、当ブログで綴りたいと思います。

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