こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、高橋留美子さんの名作漫画「うる星やつら」です。
■あらすじ
世にもまれなる不吉な相の持ち主・諸星あたる。
彼のもとに地球を揺るがす最大級の不運が降りかかります。
地球侵略にやって来た鬼族から、地球をかけた一騎打ちの地球代表に指名されたのです。
その一騎打ちの競技は「鬼ごっこ」。鬼族代表はグラマラスな美女「ラム」でした。
そして始まる地球をかけた鬼ごっこ。10日以内にラムのツノを掴んだら勝ち。
全世界が注目するなか、あたるはラムを追いかけますが、空を飛ぶラムに翻弄されて残すは1日。不甲斐ないあたるに全世界が絶望します…。
そんな中、幼なじみのしのぶから「勝ったら結婚してあげる」と言われ、あたるはがぜん奮起。
「結婚じゃーっ」と叫びながら、ついにラムのツノを掴むことに成功します。
大団円…のはずが、ラムは自分がプロポーズされたと勘違い、あたるの元に住み着きます。
世界一不運で軽薄な男あたると押しかけ女房ラム、2人の恋の行方は?世にも奇妙なドタバタラブコメをお楽しみあれ!
■うる星やつら
「うる星やつら」。
高橋留美子さんの初期代表作にして、日本の漫画史に残る名作です。
1978年、少年サンデーに短期集中連載作品として登場。
好評を受けて月刊連載化、1980年に週刊連載となると見る見る間に人気作品となりました。
ジャンルとしては、後に「るーみっくわーるど」と称されるSFドタバタラブコメディ。
宇宙や異次元を舞台に奇想天外なキャラクターが登場する独特の世界観で、男女問わず幅広いファンを獲得しました。
連載は、はじめて登場してから約10年後の1987年まで続き、単行本はコミックス版全34巻が刊行。
さらにワイド版全15巻、文庫版全18巻も刊行されています。
アニメ化もされていて、TVアニメは1981年から1986年にかけて全218話が放映。
劇場版は6作、OVAが12作製作されており、いずれも大ヒットを挙げています。
ちなみに、シリーズ前半は押井守氏がチーフディレクターを務め、劇場版「うる星やつら2 ビューティフルドリーマー」は彼の出世作となりました。
高橋留美子さんと押井守さんは、いずれも世界に誇る日本アニメの至宝。まさに、奇跡のコラボですね…。
■登場人物
この「うる星やつら」の魅力を盛り上げているのは、作品に登場する個性的な登場人物たち。
地球人から異星人、妖怪まで、ほんと奇想天外なキャラクターが登場しました。
今日は、その中から物語の主要キャラたちを紹介しましょう。
まずは、物語の主人公、諸星あたる。
世にもまれな凶運の相を持つ高校生。生まれた日は13日の金曜日、仏滅で、産声と同時に地震がありました…。
無類の女好きで、不運にもめげず美女と見ればナンパを仕掛けます。なぜか、自分に気のあるラムにはつれない素振りをしますが、実は本心は…。
続いて、物語のヒロイン、ラム。
地球侵略にやって来た鬼型宇宙人の娘。地球をかけた鬼ごっこの末、あたるのフィアンセとなり諸星家に住み着きます。
虎縞模様のビキニとブーツを着用、「だっちゃ」や「うち」などの方言もチャーミング。あたるの浮気に電撃を放射しながらも、一途な思いで愛し続けるのです…。
あたるの幼なじみ、三宅しのぶ。
連載当初はあたるの恋人でしたが、ラムと戯れる姿を見て愛想をつかし、あたるを振ります。
その後は面堂に執心しますが、あたるやラムと一緒に活動することも多く、メインキャラとして最後まで物語を盛り上げました。
あたるのライバル、面堂終太郎。
強大な財力と軍事力を誇る面堂財閥の跡取り息子。容姿端麗で学力も運動神経も抜群。
当然女性からモテますが、言い寄る女子高生らには目もくれず、ラムを追いかけました。弱点は暗所閉所恐怖症。「暗いよ~狭いよ~」は名(迷)台詞です。
第1話から登場する謎の僧、錯乱坊、通称「チェリー」。
あたるが「ものすごく不吉な人相」であることを的中させると、その後も諸星家に関わり不吉な出来事を予言します。
決め台詞は「運命(さだめ)じゃ!」。ただ、自身もトラブルメーカーであり、事態を悪化させることが度々でした…。
その錯乱坊(チェリー)の姪、サクラ。
スタイル抜群の美人巫女。あたるの凶相を見てお祓いをしますが、逆に彼女に取りついていた妖怪をあたるに憑依させてしまいました。
その後、あたる達の通う高校に保健の先生として着任すると、男子生徒の憧れの的になります。怪力の天然キャラとして物語を盛り上げました。
ラムの従弟、テン。
頭のつむじにツノ一本を生やした、鬼族の幼児。ラムを追いかけて諸星家にやって来ます。
愛らしい容姿で女性から可愛がられますが、あたるをはじめ男性には関西弁で悪態をつきます。口から強烈な炎を吐き、あたるを度々まる焦げにしました。
ラムの幼なじみの宇宙人、ラン。
子供の頃、いたずら好きのラムに付き合わされてひどい目に遭ったことから、ラムに復讐心を抱いています。
唇の接触で若さを吸い取る能力を持ち、あたるの若さを奪い取ろうとしますが…。なお、ランのほか、弁天、おユキが、惑星小学校のラムの幼なじみです。
ラムの元婚約者、レイ。
以前はラムと婚約関係にあった鬼型異星人。色男でハンサムで女子を虜にしますが、興奮すると牛虎に変身します。
さらに天然のおバカキャラ、底なしの大食漢というおまけ付き。強烈な個性で、ラムとあたるを追い回しました。
あたるのクラスに転入してきた同級生、藤波竜之介。
物語後半に登場する転校生。いつも男の格好をしていますが、実は女の子。変わり者の父親から男として育てられたため、行動も性格も男そのもの…。
一方で女性の自覚もあり、セーラー服を着ることを夢見ています。高橋留美子さんもお気に入りのキャラで、次作「らんま1/2」のモチーフになったと言われています。
■最終話
他にも魅力的なキャラクターがいっぱいいます。
弁天、おユキ、クラマ姫、面堂了子、コタツネコ…。こんだけ個性的なキャラを生き生きと描けるのは、高橋留美子さんをおいて他にいないでしょう。
こんなキャラたちが暴れまくるストーリーは、毎回ギャグが満載のドタバタラブコメディ。
ただ、その最終章は「ラブ」が多めの、心あたたかくなるラブストーリーでした。
ラムの許婚という男ルパが現れ、ラムは闇の宇宙にさわれます。
あたるはラムを奪還すべく闇の惑星に向かいますが、逆に罠にはまって2人は別れることに…。
そして迎えるハイライト、地球をかけた2人の「鬼ごっこ」が再びはじまります。
思いがすれ違う2人の追いかけっこ。ラムに「好きだ」と言えば、あたるは勝負に勝てるのですが…。
果たして勝負の行方は?そして恋の行方は?
漫画史に残る最終章。ドタバタコメディに、こんな素敵なラストを用意しているとは…。
さすがは高橋留美子さん。「うる星やつら」、これからもいつまでも読みつないでいきたい名作です。
ありがとう、うる星やつら! ありがとう、高橋留美子さん!