こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、雑誌「Pen」2018年3月1日号の特集「生誕90周年!マンガの神様・手塚治虫の仕事」です。
■「Pen」2018/3/1号
雑誌「Pen」2018年3月1日号。
その表紙に並ぶ魅力的なキャラクターたち。
鉄腕アトムに、ジャングル大帝レオに、リボンの騎士サファイア。そして空には火の鳥が飛んでいます。
みんな楽しそうに歌っているのですが、その真ん中にいるのが、これらキャラクターの生みの親、手塚治虫さんです。
思わず手にとってしまいました、雑誌「Pen」の2018年3月1日号。
その特集が「生誕90周年!マンガの神様・手塚治虫の仕事」です。
60年の生涯に15万枚以上を描き、「マンガの神様」と呼ばれる手塚治虫さん。この巨匠が逝去してから30年の月日が流れたんですね。
この特集では、その仕事と作品をさまざまな角度から掘り下げています。
頁数にしておよそ100ページにも及ぶ総力特集。
手塚治虫さんの生い立ちやその筆致の特徴、作品に込められたテーマなど、読み応えたっぷりの特集です。
■手塚治虫の仕事
特に、その生い立ちでは過酷な戦争体験が明かされています。
中学生のときに働いてきた軍需工業が爆撃に遭い、一時は死を覚悟しますが、九死に一生を得ます。
この体験が作品創作の原点となりました。
「どんなに苦労したって、おれの漫画映画をつくって、この感激を子供たちに伝えてやる」と心に誓ったのだそうです。
さらに、「あの傑作の真のテーマを、ずばり解説」と銘打った記事では、手塚さんの先見性に唸らされます。
例えば「リボンの騎士」では、女性でありながら男装の王子に扮する主人公サファイアが自分の性をめぐって葛藤します。
これは今で言うと、性同一性障害の悩みに通じるのかもしれません。手塚氏はこの作品を1963年~1966年に執筆しました。
さらに、手塚さんと仕事をしたことのある編集者中野さんは、「鉄腕アトム」は単なるSFにはとどまらないと指摘します。
それが「ブラック・ルックスの巻」で描かれる、ロボット差別の問題。敵役ルックスは母親を殺された恨みからロボットへの迫害を続けますが、その母親も実は…という問題作。
母性の象徴である火の鳥をはじめ、母子愛も手塚作品の大きなテーマだと言います。
その他にも、自伝的漫画「がちゃぽん一代記」が特別付録として掲載されており、手塚治虫という稀代の漫画家を知る手がかりになります。
息子の眞さんが語っていますが、「よくぞ60歳まで頑張った」という桁外れのエネルギー。マンガにかける情熱の量が半端ありません…。
■個人的にハマッた手塚作品
皆さんも手塚治虫作品、どれかは必ず読んだり、観たり、目にしたりしているのではないでしょうか。
ちなみに、子供のころ、個人的にハマッたのは次の作品たち。
◎ふしぎな少年
時間を止める不思議な能力を身に付けたサブタンが、その力で難事件を解決したり、大災害を未然に防いだり、大活躍する痛快傑作SF。
家の本棚にあったこの本をむさぼるように読んだ記憶があります。時間を止められたら、こんなことやあんなことができるよな…という空想がふくらみました。大体が悪いことだけどね。
◎火の鳥
手塚治虫さんが初期の頃から晩年まで手がけたライフワーク的な作品。その血を飲めば永遠の命を得られるという「火の鳥」を巡って、主人公たちが闘い、悩み、そして運命に翻弄される姿が描かれます。
舞台は、古代からはるか未来、地球から宇宙まで、壮大なスケールで描かれます。個人的には、源義経と平清盛、あるいは源頼朝との相克を描いた乱世編が好きでした。
◎鉄腕アトム
言わずと知れた日本アニメ、日本漫画の原点。追体験ですが、度々アニメ化されたり、復刻本が出たり、日本のボーイズに夢を与え続けましたね。
最近では浦沢直樹さんが、同作品の中の「地上最大のロボット」を原作とした「PLUTO」(プルートゥ)を描きあげ、アトム作品の魅力を再認識させました。
浦沢さんは熱狂的な手塚ファンとのこと。こんな形で手塚治虫さんは今なお、次代の漫画家たちに影響を与え続けているんですね。
皆さんは、手塚治虫作品、どれが好きですか?あらためてあの作品もこの作品も読み返したくなるそんな特集でした。
ありがとう、手塚治虫さん! ありがとう、アトムたち!