徳川家康(15)難波の夢の巻!どうした秀吉?末期の狂気とその最期

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、徳川家康(15)難波の夢の巻!どうした秀吉?末期の狂気とその最期…です。
「夢中図書館 読書館」は、小説や雑誌などの感想や読みどころを綴る読書ブログです。あなたもお気に入りの一冊を見つけてみませんか?

■あらすじ

茶々に男児誕生…。その知らせは豊臣秀吉を歓喜させました。
後に秀頼となる運命の子。秀吉は老いて生まれた愛児を溺愛しました。

一方で、秀吉の実子誕生に不安を募らせるのが、関白の豊臣秀次
秀吉に嫡子がないことから養嗣子となり、関白の職を譲られていた、秀吉の甥でした。

その不安は現実のものとなります。秀吉は突如、秀次に謀反の疑いをかけて伏見に召喚。
そのまま高野山に送ると、間もなく切腹を命じました。冤罪の訴えもむなしく、秀吉はさらにその一族も斬殺しました。

一方、大陸出兵も混迷の度を深めます。明の講和使節が来朝して和議がなると思われましたが一転…。
明の和議条件が自らの意にそぐわぬものと分かると、秀吉は烈火のごとく怒り朝鮮再征の令を下しました。

そして、大陸出兵が泥沼化するなか、秀吉に最期のときが訪れます。
農民から太閤にまで登りつめた男・豊臣秀吉。慶長3年8月18日、数え年63歳で波乱の生涯を閉じました。

■秀次切腹

時代小説史に残る名著、山岡荘八「徳川家康」全26巻
第15巻「難波の夢の巻」では、さらに迷走を深めていく秀吉の末期とその最期が描かれます。

徳川家康(15)

秀吉の末期は、狂気ともいえる事件が相次いで起きました。
前巻では利休切腹に至る顛末が描かれましたが、本巻ではその狂気の矛先が肉親(甥)でもある関白・豊臣秀次に向けられます。

秀吉に実子・お拾い(後の秀頼)が生まれたことから、秀次との間に生じた大きな溝
はじめは北政所(秀吉の正妻)に諭され、歩み寄りの姿勢を見せた2人でしたが、一度生じた溝はおいそれと修復できるものではありませんでした。

何時も地上に騒動の起るときには、幾つかの悪条件が寄り合うものであった。一つだけではさしたることもない原因も、それが、更に次の原因を産み、次の原因がまた更に悪条件の母胎となって、次第にぬきさしならぬ大きさに育っていく。

秀次は、自身が放逐されるという恐怖から、秀吉との接触を拒み、酒と女におぼれます。
秀吉は、そのような秀次の乱行を聞き及び、さらにわが子の安泰を願うに至って、ついに非情な秀次排除の罠を仕掛けます。

秀次の最期の場面。秀吉は、高野山に一万余騎の兵を差し向けてまで、秀次に切腹を迫ります。
事ここに至り、秀次は恐怖を乗り越え覚悟に至りました。兵を率いる福島正則に泰然自若に言い放ちます。

秀次は身に覚えのない謀反の罪には断じて服さぬ。されど、わが身の不徳を恥じ、不幸を悔いて自害する。
したがって、秀次の自害は家臣に累を及ぼすべからず。家臣のうちに罪ある者は一人もなし。その旨御前へ必ず取次ぎ呉れるよう…

福島正則は、「ははッ」と吼えるように答えると、そのまま顔を上げられず号泣します。
秀次と同じく秀吉の親戚であり、北政所を母のように慕う正則。秀次の無念が痛いほど分かったのでしょう…。

■秀吉の狂気とその最期

ただ、この秀次の最後の願いすら、秀吉は聞き入れませんでした。
常軌を逸した厳しさで、秀次の家臣を次々と処罰。さらに妻妾や子らをも斬殺。その様は「地獄絵そのまま」だったと言います。

この秀吉の狂気について、筆者は「弟の秀長や利休居士がついていた頃には全くなかった疑心地獄が秀吉をとらえた」と記しています。
「あやつもわしを怨んでいるであろう」という疑念が、わが子秀頼に向けられないかという不安となり、その不安から逃れるために処罰の網を広げていくのだと…。

(写真はイメージです/写真ACより)

そして秀吉は、朝鮮再征という誰も望まない命令を下して、その最期のときをむかえます。
その最期も一種、狂気じみたものでした。誰に対しても「秀頼を頼むぞ、若君を頼むぞ」と同じことを繰り返し、家康ら有力武将には秀頼への忠誠を誓書にさせて差し出させました。

そこに、天下のためなど欠片もなし…。ただただ、秀頼のため、豊臣家の安泰のために権力を振るう…。
家康はこうした秀吉の我執に危惧を抱きます。それが行きつく先は、信長以前の私利と野心の「戦国」への逆行だからでした。

そうして、戦国の火種を残したまま、秀吉はこの世を去ります。享年63歳。
戦乱をしずめ天下統一を成し遂げた英雄…。しかし、その治績も晩年の狂気によって大きく汚点を残すものとなりました。

ブログランキングに参加しています!

にほんブログ村 本ブログへ

 

 

 

 

この記事が気に入ったら
フォローしよう

最新情報をお届けします

Twitterでフォローしよう

おすすめの記事