武士道に生きる男たちの浪漫!隆慶一郎「死ぬことと見つけたり」

夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、隆慶一郎さんの時代小説「死ぬことと見つけたり」です。

■隆慶一郎

隆慶一郎
館長ふゆきが大好きな作家のひとりです。
代表作には、「吉原御免状」や「影武者徳川家康」、「一夢庵風流記」などがあります。


一夢庵風流記

もともとは脚本家として、テレビや映画など多数の作品を手がけ、その手腕は高く評価されていました。
そんな彼が小説家として活動を始めたのは、還暦を過ぎてから。

デビュー作「吉原御免状」を発表すると、そのスぺクタルあふれる作風は多くのファンを引き付けました。
その後も野心的な作品を相次ぎ世に送り出し、稀代の時代小説家として注目を集めはじめた矢先、66歳にして急逝

小説家としての実働はわずか5年。まだまだ描きたかった物語はあったはず。
実際に、未完の作品がいくつか残っています。

今回紹介する小説もその一つ。
「死ぬことと見つけたり」。武士の生きざまを強烈に描いた作品です。


死ぬことと見つけたり(上)

■あらすじ

武士道と云ふは死ぬことと見つけたり。
武士の心得を書いた「葉隠」の有名な一説です。

その「葉隠」そのままの生きざまを貫く武士が、この物語の主人公。
ときは徳川三大将軍・家光の時代。戦乱もおさまり世が泰平に向かう頃、佐賀鍋島藩に、徹頭徹尾、武士として生きる男がいました。

それが斎藤杢之助。いくさ人の彼に城勤めなどできるはずがなく、浪人しています。
ただ、いざ戦となると、その腕前はすこぶる達者で、その勇猛果敢な戦いぶりで藩の窮地を救います。


死ぬことと見つけたり(下)

彼の親友も同じく「葉隠」武士でした。その名は中野求馬
求馬は藩主の側近に取り立てられ、同じく戦となると佐賀鍋島藩のために縦横無尽の活躍をします。

彼らの戦とは、島原の乱をはじめとして、ときに鍋島藩内の有力者であったり、3mもの大熊だったり…。
そして、最大の敵が鍋島藩の前に立ちはだかります。ときの老中、松平伊豆守信綱。「知恵伊豆」と称される当代きっての実力者。

鍋島藩への弾圧を画策する老中と、いよいよ迫る主君の死…。
そのとき、杢之助と求馬は、いかに武士として生き、そして死ぬるのか…

■結末の行方

こいつら、カッコいいなぁ…。斎藤杢之助と中野求馬
主君のためなら、まったく死をおそれない。それは相手が誰であろうと変わらない。

隆さんがこの小説を書くきっかけとなったのは、江戸中期に書かれた武士の指南書「葉隠」でした。
武士道のバイブルとして「固く」読まれる「葉隠」。隆さんはそれを、武士たちが織り成す一大エンターテイメントとして捉えました。


定本 葉隠

だから、武士道を貫く無粋な男たちが、隆さんから感情を注入されて生き生きと跳びまわります。
「死人」として生きる杢之助がときに相手に感情移入してしまったり、求馬の妻が実は杢之助の初恋の人であったりと、ストーリーが色彩を放ちます

しかも、その骨となる戦いは、手に汗を握るものです。
最大の敵となる老中・松平信綱の何とも憎たらしいこと…。この辺は隆さんの得意なところ。他の作品では、徳川2代将軍・秀忠がとんでもない悪者に描かれていました。
その悪者「知恵伊豆」が次々と繰り出す老獪な策に対して、杢之助たちは命をかけて立ち向かいます。


知恵伊豆と呼ばれた男/中村彰彦

果たして、杢之助と求馬は、幕府最大の実力者を相手に、佐賀鍋島藩を守ることができるのか…。
残念ながら、まさに物語がクライマックスに至るところで、隆さんが急逝してしまったために未完の作品となってしまいました。

ただ、それでも残りの3話を概観できるシノプシスが編集部に残っていました。それが「結末の行方」として巻末にまとめられています。
もちろん完全なものではないですが、杢之助と求馬のその後をうかがい知る手掛かりとなっています。

「死ぬことと見つけたり」
隆さんが遺してくれた貴重な手掛かりと一緒に、その結末に思いを馳せてみるのも良いかもしれません。

ありがとう、隆慶一郎さん! ありがとう、「死ぬことと見つけたり」!

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