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”山は飢え、怒っている” 怪物との死闘の行方は…宮部みゆき「荒神」

こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。

今日の夢中は、宮部みゆきさんの時代伝奇小説「荒神」です。

■文庫化

宮部みゆきさんは、「模倣犯」や「理由」などで知られる、現在の日本を代表する小説家です。
現代の社会生活に潜む奥深い問題にメスを入れたミステリーが有名ですが、時代小説も結構手がけています。

なかでも、「おそろし」や「三鬼」などの変わり百物語は、著者の真骨頂とも言えるもの。
そこでは、亡者や妖怪などの人知を超えた存在との関わりを通じて、人の業の深さと命の尊さを訴えかけます。


山鬼/宮部みゆき

その流れをくむのが、この「荒神」と言えるでしょう。
2014年まで朝日新聞の新聞小説として連載された問題作が、ついに文庫化されました。


荒神/宮部みゆき

■あらすじ

舞台は、関ヶ原の戦いから100年経った元禄の太平の世です。
隣り合いながらも反目する二つの藩。その境に位置する山間の村に、突如おそろしい怪物が現れます。

夜空が低く唸る。唸りながら動いてゆく。(中略)
藪が騒ぎ、闇がうごめく。
―――ありゃ、小山じゃ。
蓑吉は、取り返しがつかないほどはっきりと、彼を押し包む闇が迫ってくるのを感じた。

山村の少年・蓑吉は、対峙する永津野藩の朱音に助けられます。
迫り来る怪物の足音…。朱音と浪人・宗栄は、村人を守るために怪物との戦いに臨みます。

一方、朱音の兄で藩の重臣・弾正は、怪物を操ろうと企みます。怪物との壮絶な戦いは、二つの藩の因縁と人間の業を浮かび上がらせます…。
やがて明らかになる怪物誕生の真相とは…。果たして朱音らは怪物を倒すことができるのか。

■人を食らう怪物

人気作家宮部みゆきさんの小説「荒神」は、なんと怪獣ものでした。
もちろん単なる怪獣スペクタクルではなく、人間ドラマの側面もたっぷり詰め込まれた一大エンタ-テイメントです。

目下、「シン・ゴジラ」爆地巡礼のたびを進めている館長ふゆき。偶然にもこの文庫本を旅のお供に持ったおかげで、さらに旅のスリルが増しました。
※「シン・ゴジラ」爆地巡礼のたびは、夢中図書館「街あるき館」でご覧いただけます。

この「荒神」で登場する「怪物」は、グロテスクで凶暴な化け物です。
その「怪物」を巡って、宮部みゆき作品史上、最も激しいと言われる攻防戦が繰り広げられます。

その破壊の様は、凶獣ゴジラを思い起こすほどすさまじいもの…。
身体は大きくありませんが、人を食らうさまは醜悪そのものです。
どこまでも食らいつくし、腹にたまれば吐き、そして食らう…。貪欲あるいは強欲を身にまとったような怪物です。

一方で、この怪物を取り巻く人々の思惑も様々です。
恐れおののく人々、果敢に戦う人たち、そしてその力を利用とする者…。
特に、怪物に負けず劣らずの貪欲さをあらわす曽谷弾正は、恐ろしくもあり哀れでもあります。
この辺りの人物描写は、さすがは宮部ワールド。単なる怪物サスペンスを超えたメッセージを私たちに突きつけます。

物語のクライマックスで明かされる意外な真実。果たして、真におぞましいのは、怪物なのか、それとも人なのか…。
そして、朱音らは、真の怪物を倒すことができるのか…。

■ドラマ放映決定

これ映像化されたら面白いだろうなぁ、なんて思っていたら、なんとドラマ放映が決まっていました。

NHKBSプレミアムのスペシャルドラマとして、2018年2月17日(土)よる9時から10時50分に放映されます。
朱音を演じるのは内田有紀さん、曽谷弾正は平岳大が演じます。個人的には結構ハマっているように思います。

放映にあたり、原作者の宮部みゆきさんも2人の演技を絶賛。
特に朱音のセリフ「山は飢え、怒っている」は、宮部さんが単行本化にあたって添えた思い入れのあるコピー。
「そのセリフって、物語全体のテーマだったりするので、朱音も、弾正も、怪物も見どころなのですが、そこも注目していただけるとうれしいです」と語っています。
(NHKホームページより)

後は、怪物の凄まじい暴れぶりを、どれほど映像で再現できるかでしょう。
もちろんCGなのでしょうが、怪物の姿を含めて、どんな映像になるのか…。いやいや、楽しみが増えました。

ありがとう、「荒神」!ありがとう、宮部みゆきさん!ドラマも楽しみです。

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