こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、高橋留美子さんの傑作SFラブコメ「うる星やつら」、その最終章「ボーイミーツガール」を取り上げます。
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■うる星やつら
高橋留美子さんの初連載作品にして、SFラブコメとして今も絶大な人気を誇る名作「うる星やつら」。
個性的なキャラクターが次々に登場し、奇想天外なドタバタストーリーを繰り広げました。
物語のはじまりは、地球をかけた「鬼ごっこ」でした。
地球侵略を狙う鬼族の代表は、グラマラスな美女、ラム。
一方、地球代表に指名されたのは、世にもまれなる不吉な相の持ち主、諸星あたるでした…。
この前代未聞の鬼ごっこをきっかけに、奇妙な同居生活を送ることになるラムとあたる。
そこから、2人を中心に、宇宙人や妖怪、破天荒な地球人までもが登場して、空前絶後のSFラブコメが展開されていくのです。
連載は、はじめて登場してから約10年後の1987年まで続き、単行本はコミックス版全34巻が刊行。
登場したキャラクターは数知れず、数多くのエピソードが描かれました。
ところで、そんな「うる星やつら」のラストがどんな話しだったか、皆さんは知っていますか?
今日は、高橋留美子さんの傑作漫画「うる星やつら」の最終話をとり上げます。
■ボーイミーツガール
「うる星やつら」の最終話。
それは「ボーイミーツガール」というタイトルの、11話から成るエピソードでした。
真っ黒な闇に連れ去られるという悪夢にうなされるラム…。
そしてある日、ラムの許婚という黒衣の男ルパが現れ、ラムは闇の宇宙にさらわれます。
あたるはラムを奪還すべく闇の惑星に向かますが、逆に罠にはまって2人は別れることに。
そして迎えるハイライト、地球をかけた2人の「鬼ごっこ」が再びはじまります。
あたるがラムに「好きだ」と言えば、地球は救われます。
一方、あたるがその言葉を言えなければ、地球人はラムたちの記憶を全て失ってしまいます…。
思いがすれ違う2人の追いかけっこ。果たして勝負の行方は?そして恋の行方は…?
■ラストシーン
物語のはじまりも、そして物語のラストも、地球をかけた「鬼ごっこ」でした。
条件は同じ、10日以内にあたるがラムのツノをつかんだら、地球は救われます。
最初と違って最後の鬼ごっこは、あたるが「好きだ」と言えば、ラムをつかまえらます。
「最後の賭けだっちゃ。一度でいいからダーリンに…好きだって…いってほしいっちゃ」。
こじれにこじれた2人の、恋する思いをかけた鬼ごっこでした。※以下、ネタバレを含みます。
やがて、10日の期日がみるみるうちに過ぎていきます。
どうして、たったひと言が口にできないのか…。このままいくと、地球人からラムとその一行の記憶が失なわれます。
もちろん、あたるの記憶からもラムの姿が消えてしまいます…。
それでも、あたるは意固地のように「好きだ」と言いません。
ラムも不安になります。「もしかするとダーリン、本当に…うちのことが嫌いだっちゃ…?」。
ただ、宇宙一軽薄な男は、これまでドタバタを重ねながらも、宇宙一ラムを愛していました。
あたるは、ラムの背中を追いかけながら、その思いを心の中でさけびます。
「ラムのバカが。こんな状況で、好きだといったら、本当かウソかわからんだろうが」。
そして、漫画史に残るラストシーン。
「ダーリンのバカっ!本当にうちのことを忘れてもいいっちゃ!?」。
「忘れるもんかーっ!!」。
さけぶや否や力尽きて倒れるあたる…。そのとき、あたるの手からこぼれたものとは…。
誰もが、そのシーンその一コマに、思わず息をのむでしょう。
「うる星やつら」最後をかざる鬼ごっこは、ほっこり、そしてしんみりとするゴールが待ち構えていました。
ありがとう、高橋留美子さん! ありがとう、「うる星やつら」!