こんにちは。夢中図書館へようこそ!
館長のふゆきです。
今日の夢中は、21世紀の鉄腕アトム、浦沢直樹著「PLUTO」(プルートウ)です。
■地上最大のロボット
浦沢直樹さんの漫画「PLUTO」(プルートウ)は、漫画の神様・手塚治虫さんの「鉄腕アトム」の中のエピソード「地上最大のロボット」を原作としています。
音楽で言うところのカバー曲。漫画だと、カバー作品というのでしょうか。
ただ、監修として、手塚治虫さんの長男、手塚眞氏を配し、手塚プロダクションが協力というから筋金入りです。
もともと、手塚作品の熱烈なファンであったという浦沢直樹さん。
彼が生まれて初めて漫画で感動した作品が「地上最大のロボット」でした。
その作品をリメイクしたいと、自身で手塚眞氏にラブコールを送って実現したのが、この作品「PLUTO」(プルートウ)です。
ただ、さすがは浦沢直樹さん。
単なる忠実な原作のリメイクではなく、独自のアレンジが加えられています。
その最大のアレンジが、主人公がアトムでないこと。
アトムは2巻目で登場。中盤までは刑事ロボット「ゲジヒト」の視点で物語が進んでいきます。
さらに、ロボットが完全に人間の姿をしているところも浦沢アレンジ。
ところどころで人間とロボットの境を見失います。これって物語の大切なメッセージなのかも…。さすがは浦沢さんです。
■あらすじ
さて、そのあらすじはこんな感じです。
人間とロボットが共存する近未来。
世界最強と言われるロボットが次々と破壊される事件が発生します。
ドイツの刑事ロボット・ゲジヒトは、犯人の標的が自身を含めた7体のロボットであることを確信します。
ゲジヒトは、そのうちの1体であるアトムに警告を発するとともに、共に謎の解明にとり組みます。
そんな中、アトムの妹ウランは、廃墟の壁に花畑の絵を描くふしぎな男と出会います。
ウランはその男の心に潜む悲しみを察知しますが、そこにアトムが現れると、男は豹変して…。
■浦沢直樹さん
浦沢直樹さんと言えば、「MONSTER」や「20世紀少年」でお馴染みの、稀代のストーリーテラー。
当作品も、少年漫画という枠を超えて、謎解きあり、ヒューマンドラマありの、芳醇なエンターテイメント作品となっています。
特に、終盤に登場する心優しいロボット・エプシロンとPLUTOとの戦いはせつない…。
ロボットの限りない愛と、人間の限りない業の深さ。
浦沢さんが見事に、手塚治虫さんが作品に込めた深遠なメッセージを蘇らせました。
手塚治虫と浦沢直樹という2人の天才が、時代を超えてコラボした名作。
読み終えた後の余韻がなんとも言えない、涙がこみ上げてくる作品。おススメです。
ありがとう、PLUTO!ありがとう、浦沢直樹さん&手塚治虫さん!